第2回定例会一般質問―高齢者・中小企業対策強化を(清水議員)


安心して利用できる介護保険へ

【清水議員の発言(◆は質問の主旨)】
「安心して利用できる介護保険へ」について質問いたします。
民主党政権への期待は次々と崩れ、「後期高齢者医療制度を無くす」の公約も投げ捨て、高齢者のねがいが踏みにじられています。4月からの介護保険改定は、政府は介護報酬はプラスと言っていますが実質はマイナスで、利用者にとっては保険料は値上げとなり、要支援1,2、要介護1,2、の軽い人ほどサービスが受けにくくなっています。事業者にとっても厳しい改定となっています。
日本共産党区議団は介護利用者や家族や介護事業者の皆さんと、懇談を重ね状況や要望を聞いています。そのなかでも大問題となっているのが、4月からの生活援助の時間区分の見直しによって、ヘルパーさんが生活援助として調理、掃除、洗濯、買い物などの家事をしていた時間が60分から45分に短縮されたことです。介護利用者からは、「材料を買い物しても、料理する時間はないと言われた」「洗濯機をまわしても、干す時間がないと言われた」「風呂掃除はやるが、マットは洗えないといわれた」など、「何故今までどおりにやってもらえないのか」の不満がでています、どうしても生活できない人は、短縮された時間を自費・自己負担で対応している例もあるようです。経済的負担に耐えられない人の今後の生活が心配されます。
ヘルパーさんからは「時間がなくて移動が大変」、「収入が減った。生活費が足りないので、お掃除の仕事を増やした」など、労働状況が大きく変化し「仕事が続けられない」の声も出ています。
ヘルパーさんは、ただ家事をやっているだけではなく、利用者さんの具合が悪そうだなど体調変化をつかんだり、利用者さんとケアマネジャーをつなぐ仕事をしています。利用者さんとのコミュニュケーションは大変重要ですが、45分ではヘルパーさんと話がしたいと待っている利用者さんと話す時間もない状況です。
生活援助は介護の軽度の人が使っており、介護が重くなるのを食い止め、介護予防になっています。生活援助が45分の時間削減されたことは、いきいきと暮らし続けるための介護予防を進める大田区計画とは逆行しています。
次の問題点として、今回の改定でデイサービス等の通所介護の報酬がかわり、いままで6時間程度だったのに、7~8時間になっています。横になって身体を休める面積も少ない施設では高齢者にとっては負担増、疲労増になっています。利用者に了承してからとなっていますが、実際には利用者は時間の選択はできず、デイサービス、通所リハビリの時間は以前より長くなっているようです。時間が長くなったため事業者は職員の配置を、ローテーションを組むことが必要になり、職員の確保に苦労しています。
区内介護事業者の実情も大変深刻で数数の区の要望、要請がでています。「4月からの改定に当たり十分な情報が伝わらず、都や区に聞いても3月末まで詳細がわからず大変苦労した。利用者への説明もすべて事業者任せであり、時間も、システムの変更など経費もかかるなど大変な苦労があったと聞いています。ヘルパーさんらの収入が低いため退職者が多く、若い職員を経験者が指導するという人材育成も困難となっています。また、ケアマネジャーには報酬がありますが、サービス提供責任者の仕事は無報酬で、利用者のために働こうとすればするほど「ただ働き」が増えている状況です。また介護職員処遇改善交付金は介護報酬の中に組み入れられ利用者の負担になっています。
介護関係者の方々がおこなった、アンケートでは「今度の改定は利用者いじめ」「介護の仕事を続けていく意欲がなくなりつつある、転職を考えている」「国、都、区への不満が上がっている」「介護保険制度について、区がもっと多くの場で区民に説明会を開いてほしい」などの声があふれています。
この度の改定は、在宅での介護をより困難にし、利用者の経済的負担を増やし、介護保険会計の増にもつながっています。
第1回定例議会佐藤伸議員の代表質問で険改定によって更なるサービスの低下になる。区民の介護環境を守るために大田区として、国にたいして意見を述べるとともに、改定によって後退した事業への大田区独自の施策をおこなうこと」と質問しましたが、松原区長は「国の基本的な考え方として、あらたな介護サービス等への対応がもとめられ、・・生活援助についてはニーズに応じたサービスを効率的に提供する観点から改正が予定されております」「大田区としては、適切な報酬改定がおこなわれたと考えており、次期介護保険事業計画に盛り込んださまざまな事業を適切に実施してまいります。」と応えています。しかし4月からの介護保険の改定は、適切な改定とはとても言えず、サービスは後退し4月からわずか2ヶ月足らずで、さまざまな問題点が出ているのです。
大田区は第5期大田区介護保険事業計画で、 基本目標1、いきいきと暮らし続けるための介護予防をすすめます 基本目標2、一人ひとりに合った介護サービスの充実をすすめます 基本目標3、いつまでも住み慣れた地域で暮らせるよう「地域包括ケア体制」をすすめます となっていますが、これらの目標は机上のものになろうとしています。
区は介護保険者の責任者として、改定のたびに振り回されている介護現場の声と利用者・家族の声を聞き、改定後の現場でなにが起こっているのか実情を把握することが必要です。
◆介護保険改定の影響について、利用者・家族の声を聞き、介護関係者の労働の実態等、緊急に調査することを求めます。法の改訂だから仕方がないとせず問題点を直ちに改善すべきです。また欠陥のある制度をつくり国庫負担を引き下げている国の責任は重大です。動向を見守るだけでなく、国に強く意見を上げるべきです。お答えください。

【福祉部長の答弁】
まず、介護保険の改定に関するご質問でございますが、今回の改定は、言うまでもなく高齢者の尊厳保持と自立支援という介護保険の基本理念を一層推進するために、各サービスの報酬、並びに基準について見直し、全体で1.2%増の改定が行われたものでございます。
ご指摘のあった訪問介護などの介護サービスにつきましては、サービス提供の時間区分の見直しが行われておりますが、サービス提供の実態を踏まえた上で、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、そのニーズに応じたサービスを効率的に提供するという内容となっております。
今回の介護報酬等改定については、窓口や事業者の方への説明会など機会を捉えて説明し、その際、合わせてご意見も頂戴しております。内容につきましては、引き続き、周知に努めてまいりたいと思います。

【清水議員の発言】
次に介護保険料の値上げについて伺います。改定された介護保険料の変更の「お知らせ」は7月中旬に発送されます。区は「所得段階別に配慮されている。区独自に世帯の収支状況を考慮した保険料減額を実施している」と言っていますが、過去最高の値上げであり、所得が低い方ほど負担率が高くなっています。介護保険事業が始まった2000年度には、基準額で月額3070円でしたが、4900円へ、、年額36840円は、58800円と大きく値上げされています。介護保険料だけでなく、国保料、後期高齢者医療保険料とともに値上げです。年金受給者には物価スライドにより2・5%の年金の引き下げの中、有無を言わせず年金からの天引きとなるのですから、多くの高齢者は生活を切り詰めざるを得ないのが実態です。
◆大田区独自に介護保険料を、一般財源を使って減免し、ことに高齢者の生活を守るべきです。お答えください。

【福祉部長の答弁】
次に、介護保険料の減免についてのお尋ねでございますが、大田区におきましては、既に、介護保険制度の枠組みの中で、条例で保険料の減免制度を設けているところでございます。
ご質問の、介護保険料の減免を、さらに、一般会計を使って実施するようにとのことでございますが、介護保険料は、所得に応じて保険料を設定しており、また、低所得の方への配慮も既に制度の中で行っております。介護保険制度は、負担能力に応じて保険料を負担し合い、全体で支える保険制度でございます。
この趣旨からしましても、区の保険料負担分以外に、保険料を減免するために一般財源を投入することは、避けるべきものと考えておりますし、国からも同様の指示もございます。ご理解をいただきたいと思います。

【清水議員の発言】
次に介護施設建設について伺います。第5期計画では2014年までに特養ホームは1施設100床以上の整備を目指しています。しかし特養ホーム入居希望者は増え続け、2月現在で1762人もの方が入居できるのを待っています。日本共産党区議団が、一貫して要望を挙げていますが、待機者に見合った整備計画の見直しが必要です。待機者の中には「老老介護」で面倒見ていたほうも介護が必要になっている例や、子が親の介護のために仕事をやめざるを得ないが、仕事をやめれば生活できないなど深刻な事例があります。ショートステイも施設数が足りず、予約は2ヶ月前でもなかなか入らない。家族の突然の病気のときなど預かってもらえないなど、在宅介護を支えるショートステイ不足も深刻です。介護施設の建設は待ったなしです。しかし都心の大問題である土地の確保なされなければ施設は出来ません。
特養ホーム「翔裕園」は東六郷の消防署跡地と隣接の民間の土地を大田区が買い上げて、社会福祉法人 長寿村に建設補助をして完成しました、この事例のような土地提供型の建設計画が必要です。区行政は「国や都へ土地を売る時は大田区に一番に声を掛けてくれと言っている」とこたえていますが、区内に、利用できる土地は本当にないのでしょうか。仲六郷3丁目には区職員住宅が 空き状態のままになっています。本羽田2丁目に郵政省官舎跡が、萩中2丁目には税務署官舎跡があります。現在入居者は居らず、建物は残っており、立ち入り禁止となっています。元町会長や近隣住民からは「もったいないから何かに転用できないのか、そもそも国の持ち物であり、国民の税金で出来たもののはず。特養ホームなどにしたらドウか。また放置されたままでは、火事や犯罪などの治安の心配がある」の声がでています。また、誰も住んでいない東電の社宅が上池台2丁目、大森西4丁目は社宅は解体され更地になっています。中馬込3丁目には営団社宅跡があります。
◆これらの土地の活用の検討を関係者と具体的に進めることを提案します。売りに出されるのを待つのではなく、区から積極的に要請すべきです。その際、買うだけでなく借りることも視野に入れて検討してください。お答えください。

【経営管理部長の答弁】
まず、国有地でございますが、売却・貸付可能な国有地がある場合には、国はホームページに掲載するとともに、地元自治体に直接情報を提供し、優先的に売却等を行うことになっておりまして、区では、その都度、計画に基づいた既存の区施設の改築や改修、あるいは新規施設の建設ニーズに適しているかどうか、検討しているところでございます。
また、未利用都有地につきましても、待機児童の解消や特別養護老人ホーム等の介護基盤整備を促進するため、区に対して十分な情報提供を行うよう、特別区長会として要望した経過がございまして、昨年度、東京都から23区に対して情報提供がございましたが、大田区には該当する物件がございませんでした。
借りることも視野に入れて検討すべきとのご意見でございます。未利用になっている国有地や都有地につきましては、定期借地権を設定し、社会福祉法人等へ貸し付ける仕組みも整備されてきたところでございます。
今後も、活用可能な国や都の未利用地が出てきた場合には、介護保険事業計画など区の計画における施設ニーズや施設の種類に応じて適地かどうかなどを検討した上で判断してまいりたいと考えております。

【清水議員の発言】
◆また、老朽化した公的施設の立替の際は、保育園や、特養ホーム等を併設する計画にすることを提案します。貴重な区の土地です。有効活用できる計画にすべきです。お答えください。

【経営管理部長の答弁】
次に、区施設の改築にあたり保育園等の併設を、とのご質問でございます。施設の複合化につきましては、区施設の新築及び改築を行う際に、施設の有効活用の視点から検討をしております。
区では、既に様々な施設で複合化に取り組んでおりまして、最近の例で申し上げますと、六郷特別出張所とさわやかサポートを含む高齢者支援機能、さらには子供家庭支援センターの分室機能を複合化した(仮称)仲六郷二丁目施設の整備を進めているところでございます。
施設の複合化は、区有地の有効活用をはじめ、建設費用の圧縮や運営コストの縮減につながるため、可能なものは推進していく方向で考えております。
ただし、施設の複合化にあたりましては、地域における行政需要とのマッチングや施設機能同士の親和性、さらに建築制限内での建物の床面積の確保など、様々な観点から検討することが求められているところでございます。

【清水議員の発言】
高齢者がなるべく介護保険を利用せず、使ったとしても軽く済み、いきいき老後を過ごすために、大田区としてもっとやれることがあります。以下4点は区民の皆様から寄せられた要望です。

1. 夜間の介護を支える、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業は今年度の実施目標はゼロです。実施したい事業者はありますが、人材が確保できない、報酬が低く事業参入に躊躇している状況です。事業者の中には取り組みの姿勢が、近隣の自治体に比べて大田区は弱いという声が上がっています。
事業者が参入するために障害や問題になっていることは何か、現状で必要なことは何かを把握し、区民のために取り組みの強化を求めます。
2. 高齢者の住まいの問題も深刻です。
病院から退院と言われても住まいが確保できず退院できない。高齢者は民間アパートは借りるのが非常に難しくなっています。高齢者アパート、シルバーピアの増設が急務ですが、介護が必要になった際は退室せざるを得ません。介護も受けられる軽費老人ホームの拡充を求めます。また区内の区営、都営住宅では高齢化がすすみ、一人、夫婦のみの高齢者世帯が増えています。中でも東糀谷6丁目都営住宅は、病院、診療所が近くになく、商店が少なく、生鮮食品等の買い物が大変です。住み慣れた住宅で高齢者が介護が必要になっても暮らしていける支援の検討がもとめられます。
3. 大田区の介護の相談体制は、さわやかサポートが多くを担っていますが、午後7時まで、土は午前のみ、日祭日は休みです。働いている家族が相談したくても相談出来ず、問題の解決が遅れ、困難化する事例が出ているようです。虐待の問題もあります。24時間何時でも相談できる体制がもとめられています。
4. 生活保護受給者の介護申請の遅れが問題になっています。介護が重くなる前に介護認定が受けられていたらよかったという事例があるようです。生活福祉課のケースワーカーは、介護事業者との連携をつよめることが求められます。

長寿を喜べる高齢福祉へ

【清水議員の発言】
次に、長寿を喜べる高齢福祉へ について質問します
70歳以上の高齢者に配布されている「いきいき入浴券は、今年度から、財政難を理由に年60枚を36枚に、区民負担分を150円から200円にと改悪しました。削られた区民は「どうしてこんなに削られたのか、年寄りに冷たいね」「がっかりした、もう少し やさしくしてほしい」の声があふれています。さらに1ヶ月あたり3枚まで、次月に繰越できないという規制には「汗をかくから夏場に多く使いたい、冬場は温まりたいから多く使いたい」のに、「どうして駄目なのか、枚数が減らされた上に、1ヶ月3枚までにするなんて納得できない」と、不満が広がっています。
区は、「いきいき入浴券は大好評の制度」と認め、「昨年度は予算規模を超える利用があったため、事業を継続するために削減した」と説明しています。
◆1ヶ月3枚までという規制をなくすこと。そして「いきいき入浴券」は年間60枚、1回150円と昨年に戻し、高齢者に喜ばれる事業を継承すべきです。お答えください。

【福祉部長の答弁】
次に、いきいき入浴事業についてのお尋ねでございますが、この事業は、高齢者の方の健康保持と地域でのふれあいの促進、さらに介護予防に役立てることを目的としております。
従来は、ひとり暮らし高齢者のみを対象としておりましたが、平成22年9月より、70歳以上の方、全ての高齢者の方に対象を広げて実施するように制度を改めました。その際に、特に年間を通じて継続的にご利用していただくために、月々の利用回数も設けさせていただいたところございます。
区としては、多くの方にご利用いただきたく、現行制度の中でご利用をお願いしたいと思っております。

【清水議員の発言】
大田区は孤立死対策として、民生委員による一人暮らし高齢者へ理美容券の手渡しなど見守り体制を強化しています。しかし、民生委員さんへの仕事量の増加は深刻で、地域によっては「なり手がない」状況がうまれています。また、自治会・町会に見守り体制の連携をおねがいしていますが、地域によって対応がさまざまです。区は、今年度の重点施策として「見守りキーホルダーの登録事業」を各さわやかサポート事業で始めました。見守りキーホルダーは、認知症の方の徘徊や、外出中の不慮の事故の場合などには有効との意見がありますが、孤立死の対策にはやや足りません。大田区の65歳以上人口は昨年12月時点で14万3、852人すべてが対象ですが、キーホルダーを申し込んだ人は5月末で約2600件ですが、申し込まない人、申し込みにこられない人たちの中に、孤立死の危険が心配され、対応がもとめられているのではないでしょうか。
また、区はさわやかサポートの機能強化として、区内20箇所のさわやかサポートすべてに、高齢者見守りコーディネーターの配置し、地域ネットワークの強化等方針としてかかげていますが、さわやかサポートでは相談業務や、要支援等の介護予防プランの仕事量が増大しています。軽度の介護の予防プランは報酬が低すぎて事業者は引き受けてくれず、さわやかサポートでやらざるを得ないからです。業務が加重過ぎますそんな中で配置された1名は高齢者見守りコーディネーターの仕事だけをしているわけにはいかないのではないでしょうか。
さわやかサポートとは別立ての高齢者の見守り体制をつくるべきです。墨田区の「高齢者みまもり相談室」、港区の「みまもりネット」2人体制で区内5箇所、は東京都の補助事業「シルバー交番事業」を活用しています。この事業は、地域包括支援センターと連携し、埋もれた高齢者の発見の事業として、東京都が人件費の2分の1を補助するもので、介護保険会計でなく、一般財源で出来るのです。
他にも機能として、緊急通報システム、生活リズムセンサーによる安否確認体制、在宅高齢者、家族等からの相談対応、高齢者等からの相談窓口にも活用できます。2011年度の実施状況は予算額2億4561万円、実施地区は10区市町村、合計30地区で、23区内では 港区、墨田区、品川区、豊島区、荒川区で実施されています。
◆高齢者の孤立死をなくすため、見守り事業の抜本的な拡充をし、「大田区孤立死ゼロ 宣言」を提案します。まずは大田区で孤立死の危険性の高い高齢者の実態を調査すべきです。調査の仕方は、介護保険の認定を受けているが、介護サービスを受けていない人の全件調査や、国保65歳から74歳、75歳以上後期高齢医療保険者で医療機関にかかっていない人の調査などがあります。実態に応じて対策をたてることが必要です。お答えください。

【福祉部長の答弁】
次に、高齢者の孤立化、それから孤立死の防止、見守り事業拡充についてのご質問ですが、ひとり暮らし高齢者をはじめとして、孤立化を防ぐことは重要な課題と認識しております。
その手法として、介護保険システム、医療システム等を活用して基礎的な調査をすることは、一定の効果があると考えております。
しかし、介護サービス等の未利用期間の設定、対象者の年齢の範囲、高度な個人情報の目的外使用等の課題もございます。引き続き検討してまいりたいと思います。

【清水議員の発言】
今年も夏の暑さが心配されています。東京電力は、理不尽な電気料金値上げを一般家庭にも実施しようとしていまので電気料金が上がることが心配で、クーラーがあっても使わない高齢者が例年より増える可能性があります。補正予算で組まれている熱中症対策は民生委員が個別訪問で経口ほすい液を一人暮らしの高齢者にひと夏分として2本と啓発パンフレットの配布ではやや不十分です。熱中症で命を落とす高齢者が出ないよう対応の拡充が必要です。
◆昨年好評であった冷却ベルトの支給を今年度も実施するよう求めます。
その際、取りにいけない高齢者こそ対応が求められるので、先ほど提案した孤立死の危険性が高いと把握した高齢者には届くようにするべきです。また高齢者の日中の避暑対策として公共施設の開放など、たとえば京都市でおこなわれているクールスポットなどを大田区で実施することを提案します。6月4日付けの都政新報によると、世田谷区では、クールシェアの一環として取り組む「ひとときお休み処」は節電と、高齢者の熱中症対策、公共施設だけでなく商店街でも設置することによって地域活性化にもつながるとしています。また、荒川区でも「荒川まちなか避暑地」を熱中症対策や、健康促進に規模拡大するなど、各地で取り組みがおこなわれるようです。歩いて出かけられる人も、歩いていけない人にも、気温が高くなる前に対策をたて、区民に知らせることです。お答えください。

【福祉部長の答弁】
最後に、高齢者の熱中症対策についてのご質問でございますが、昨年度に引き続き、今年度も取り組みを実施したいと考えております。
一つには、高齢者の方の熱中症予防に関する広報として、区報1面を使った広報でございますが、6月21日号の区報で予定をしております。併せて、予防のパンフレットをできるだけ多くの高齢者の方にお配りしたいと考えております。
二つ目には、ひとり暮らし高齢者をはじめ、対象となる方を訪問し、注意を促したいと考えております。さわやかサポートの見守りコーディネーター、地域の民生委員さんのご協力をいただきながら実施したいと考えております。
最後に、クールスポットに代わるものについて、猛暑時は、老人いこいの家や区立施設をご利用いただければと思っております。以上でございます。

地域経済の主役にふさわしい中小企業対策を

【清水議員の発言】
次に 地域経済の主役にふさわしい中小企業対策をについて質問します
区内中小企業を訪問して聞くのは「消費税が増税になれば、もう終わり」の声です。松原区長はこの間「消費税増税については、国の動向をみる。社会保障の財源として必要」と答弁しており、昨日の黒沼区議の答弁でも「国の問題」と述べました。しかし8%~10%の大増税になったら、町工場も商店、飲食業も倒産、閉店、廃業に追い込まれることになります。増税をやめることを求めることは、中小企業産業を守る区長の責任なのです。大田区のモノづくりの強みは集積ですが、今、区内の製造業、町工場は櫛の歯がかけたように倒産・廃業が続いています。いままで高度の技術が必要な試作品など所謂1点ものをやっていた、「職人」と呼ばれている技術者は高齢になり、後継者がいない中、引退したいが、取引先から「やめないでくれ」と言われている。取引先も大手の孫受けなどの下請けです。どちらも仕事がない、仕事が少なすぎて続けられないのです。いまこそ区内に仕事を増やすためにも、大田区内の中小企業のやる気を引き出す施策の1つとして東日本救援復興に大田のモノづくりを生かして、自然再生エネルギー関連の研究開発へ思い切った助成を提案します。たとえば蓄電器、LED、または、地熱・風力・小水力発電関連機器、タービン等々、施策機や部品などに技術力を活用し、大田区全体をサイエンスパークとして大きく売り出す、区内建設業者、電設業者等とも連携し、自然再生エネルギー機器を生み出すモノづくり街として国内外に発信することです。
東京都は「ものづくり産業集積化支援事業」を開始し、大田区が第1号で承認され、区内製造業の産業構造そのものより、高付加価値型の産業へシフトし、東糀谷工場アパートの設置、運営、研究開発事業の拡充に補助金が活用されます。東糀谷工場アパートには当初予算で1億9766万5000円が借り上げ使用料などに計上されています。6月1日に開所式がおこなわれましたが、入居にはさまざまな助成制度が活用できるのにまだ9ユニットが未入居です。空きユニットがあるということは、その分、家賃が入らないということであり、区の財政負担が増えることになります。
また、第1次補正予算で産業経済費は、マイナス予算が組まれています。当初予算で重点事業として区内工場立地・操業環境整備助成事業1億1239万5000円の予算を、東京都から1億円の補助金が出るからといって、一般財源4934万円がマイナスです。そもそもの当初予算で産業経済費は総予算の約1・5%しかくんでいないのですから、一般財源をマイナスとせず区内中小企業に使うべきです。
◆たとえば、モノづくり経営革新緊急支援事業です。1社に50万円の支援でしたが、「いろいろなんでも使えるところがよい、50万円自由に使うためには1000万円の売り上げが必要だ、本当に助かった、」と好評でした。多くの中小企業にやる気と意欲を引き出しました。是非、再度、実施すべきです。新製品・新技術開発支援事業の規模より小さくても、技術もあり、開発に意欲のある区内中小企業に支援することは、モノづくりの活性化につながります。お答えください。

【産業経済部長の答弁】
私からはまず、ものづくり経営革新支援事業についてのご質問にお答えいたします。
ものづくり経営革新支援事業は、企業の皆様に経営改善に取り組んでいただくことを目的に、中小企業診断士等専門家のアドバイスをもとに経営者自らが経営計画を策定していただき、その実施費用の一部を助成したものでございます。
平成21年度実施時は、半年後の当初調査におきまして、短期的効果があったという意見が大半でございましたが、一年経過後の調査では、明確な成果があったとした企業は3分の1にとどまりました。
平成22年度の実施の際には、事業を利用とする企業数自体が減少したことから、企業が経営改善に取り組むための支援という本事業の目的は達成されたものと判断いたしました。
本年度は、新製品・新技術開発の支援事業を充実させ、企業の開発力の強化、市場開拓、販売ノウハウの蓄積といった面から経営改善を図っていただくことによって、大田区工業の集積・維持・発展に努めてまいります。

【清水議員の発言】
◆また、民間である東糀谷工場アパートでは入居企業に実質家賃助成しています。区内全域の中小企業、零細町工場の借り工場にも広げられるはずです。さらに新規に設備をすることで経営が前向きになる企業への設備助成制度は、500万円以下の小規模でも、区内・中小・零細企業へも助成すべきです。家賃補助、設備補助の直接支援策を求めます。お答えください。

【産業経済部長の答弁】
次に、区内全域の借り工場に家賃助成をとのご質問でございますが、過去に実施した調査によりますと、区内の中堅企業は、区外から仕事を受注し、その一部が区内企業に外注されて仕事を完成させるという生産連携方式が多くの中堅企業で行われております。そのため、中堅企業を誘致することで他の区内企業へも仕事が流れていくことになります。
東糀谷六丁目工場アパートは、中堅企業の入居を誘導し、区内企業への発注効果を狙うという政策目的に沿って使用料にインセンティブを付したもので、家賃助成とは全く違うものでございます。区として、区内企業に対して、一律に家賃助成をするということは考えてございません。
また、新規に実施することとなりました設備投資助成制度でございますが、主に区内中堅企業として、高付加価値を生み出し、区内企業への発注効果を生じさせる狙いがございます。
そうすることで、大田区の産業競争力を強化していくことを目的としております。したがいまして、助成対象とする設備も一定規模以上の設備を想定して基準を設定させていただいたところでございます。

御遺体保管所について

【清水議員の発言】
最後に、遺体保管業について質問します
大森南5丁目、区立森ヶ崎公園入り口近く、大森1中通学路にそった元自動車修理工場で、業者が30体を保管する冷蔵設備で一泊6300円で遺体保管をするという商売を昨年10月より営業しています。御遺体保管業は、何の法律も規則もないため、東京都にも、大田区にも届けの義務もなく、業者は運送業とし、保管する建物を倉庫として商売をやっています。地域住民の皆さんが、「何の説明もなく、遺体を保管するという会社が、生活しているすぐ近くにきた。生活環境が大きく変わってしまった。遺体保管の法的整備とともに区も近隣住民の思いを組んでほしい」と、昨年の第3回定例議会に大田区何処でも起こる問題と11700人もの署名とともに陳情を提出されました。区議会で採択され、国に意見書も提出されました。これを受け区は、まちづくり条例を改定し4月より施行されています。「葬祭場等設置に関する調整」の事項に、「遺体保管所」について を追加しています。この条例で定められた事業者の責務は、「近隣住民と相互理解を深め、紛争を未然に防ぎ、良好な住環境、生活環境の形成に努めらければなりません」であり。そして区の責務は「事業者に適切な指導・助言をおこなわなければなりません」です。しかし。業者は区が条例を説明しようとしても、約束した日を守らないなどの態度をとっていると聞いています。また、業者は「周辺住民が営業妨害をしている」と1000万円を超える損害賠償金請求で訴え、現在裁判を起こしています。業者と住民との関係はよい方向にはいたっていません。
◆区は業者が本年4月の条例制定前に営業を始めているが、区は業者に近隣住民と良好な関係を持つよう指導すると答弁しています。引き続き指導するよう求めます。お答えください。

【時間切れのため答弁なしであったが、「指導するよう努める」と連絡あり】

【清水議員の発言】
また陳情では、臨海斎場の改善についても要望され採択されています。区は区議会で採択された後に、臨海斎場広域組合に要望を出すと答弁していました。
◆臨海斎場の遺体保管所の拡充を求めるべきです。お答えください。

【地域振興部長の答弁】
私からは、臨海斎場の遺体保管所の拡充を求めるべきとのご質問にお答えをさせていただきます。昨年の区議会での保冷庫にかかる陳情審査内容につきましては、臨海部広域斎場組合に伝えてございます。
臨海斎場では、開業当時16基だった遺体安置所の保冷庫を、平成20年度に20基に増設いたしまして、現在、70~90%程度の利用率で推移しているとのことでございますが、保冷庫の増設につきましては、現在の建物の構造上、困難であるなど課題も多いのが現状でございます。
保冷庫等施設の増設につきましては、現在、構成5区の部長会等でも今後の検討課題のひとつとしてございます。他の組合構成区と連携を図りながら、検討を進めてまいりたいと考えてございます。私からは以上でございます。

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