第1回定例会代表質問(速報)―すがや議員(2月22日)



(映像は大田区議会ホームページより:62分)

憲法9条を守り平和都市宣言の実現について

【すがや議員】
まず、平和の問題で質問します。
平昌オリンピックが25日まで開催されています。韓国と北朝鮮が共同で入場した際、会場は総立ちの大歓声でした。国際オリンピック委員会バッハ会長は、「多様性の中での結束は分断しようとする力よりも強い」という言葉も感動的でした。対話による第一歩に広がってほしいと強く思いました。
昨年は、核兵器禁止条約の締結、ICANのノーベル平和賞の受賞など歴史的な前進がありましたが、唯一の被爆国が核兵器禁止条約に反対しています。松原区長も、昨年の第4回定例会党区議団の代表質問、「平和首長会議に参加しているのですから、核開発、保有、実験、使用、使用の威嚇を違法化している核兵器禁止条約に賛同すべき」に対して、「日本政府は国連総会などを通じて、核兵器保有国と非核兵器保有国とが合意できる現実的、実践的な核軍縮・不拡散の取り組みを着実に進めている」と理解を表明されましたが、核軍縮、核不拡散ではなく、核廃絶こそが北朝鮮からも核兵器をなくしていくことなのです。アメリカ大統領トランプ氏は、前オバマ大統領の核廃絶の方針を転換し、日本政府が早速支持したことは、平和の願いに逆行し、大変危険です。
日本政府が核兵器禁止条約の締結に反対する方針を転換し、推進の先頭に立つよう求めた署名や意見書などを求める地方議会の意見書可決が157地方議会に広がっています。東京では、江戸川区長は署名に応じ、多摩市長は「今後も平和首長会に参加するものとして、この条約が核保有国やその同盟国を含む全ての国の条約締結を促進することは明らか」と表明、墨田区長、板橋区長、国分寺市長、狛江市長なども賛同しています。
●松原区長は、核兵器禁止条約の締結を求める署名活動に取り組んでいる平和首長会議の立場に立つことを求めます。お答えください。

【松原区長】
すがや議員の代表質問に順次お答えをさせていただきたいと思います。
まず、平和首長会議に関するご質問ですが、区は、昭和59年に世界の恒久平和と人類の永遠の繁栄を願い、平和都市宣言をいたしました。平和都市宣言の趣旨を実現するため、これまでも平和都市宣言記念事業「花火の祭典」をはじめとする様々な事業の取り組みを進めております。また、平和都市宣言を行った大田区の区長として平和首長会議に出席しております。平和都市宣言を行った区の責務は、区民の皆様とともに平和の尊さについて考え、次の世代に語り継ぎ、平和な世界を築いていくことであります。引き続き、平和都市実現のため、基礎自治体としての立場で平和関連事業に取り組んでまいります。

【すがや議員】
また、安倍首相はこれまで、秘密保護法、安保法制(戦争法)、共謀罪など憲法違反の悪法を数の力で次々と押し通してきました。憲法に基づく政治、立憲主義が土台から壊される異常事態です。その総仕上げとして、憲法9条改定を剝き出しにしています。昨年5月3日、憲法9条改憲を打ち出し、年頭の挨拶、国会施政演説でも年内の憲法9条への第3項として自衛隊を書き込むことに執念を燃やしています。これは新法が優先されますから、9条1項、2項の空文化に道を開き、海外での武力行使が無制限になるものです。地域を歩くと、「戦争は絶対にだめ」「私は女学校に行ってもっと勉強したかったの。でも、学徒動員で行けなかった」など、この日本の国がどうなってしまうのか心配の声です。日本世論調査会の調査では、9条改定は「必要ない」が53%、改憲の国会論議は「急ぐ必要はない」67.2%に上り、国民多数は改憲を望んでいないことは明らかです。憲法制定後70年間、どの国とも戦争をせず仲よくできたのは憲法9条があるからです。
●そこで質問します。憲法第2章「戦争の放棄」、9条「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とあります。区長は、大田区の平和都市宣言「平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」の立場で、憲法9条を改憲しないよう国に求めることです。お答えください。

【松原区長】
次に、平和都市宣言を行っている立場で国への働きかけに関するご質問ですが、昭和59年、区は平和都市宣言をいたしました。平和都市宣言の中では、「平和という人類共通の願いをこめて大田区は平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」と憲法擁護についてうたっております。その上で、区は、基礎自治体として平和関連事業に取り組むことこそが区の果たすべき重要な責務であると考え、平和都市実現に向け着実に歩みを進めてまいります。

国政の防波堤として、くらし、営業、福祉最優先にするべき区の予算案について

【すがや議員】
次に、予算関連についてです。
今議会は、再来年度改選前の骨格予算が残されているとはいえ、区長や我々議員の任期4年の4年目、また、松原区長みずから任期を3期とする条例からして総仕上げの予算を審議することになります。今、国の予算審議が行われていますが、国の考えが大田区に大きく影響します。第2次安倍政権発足から5年、大企業の内部留保は400兆円を超え、一握りの超富裕層の資産は3倍になる一方、労働者の実質賃金は年額15万円減少、実質家計消費は20万円減少しました。年収200万円以下の働く貧困層は1100万人を超えて広がっています。アベノミクスがもたらしたのは格差拡大と貧困悪化だったのです。先日発表した昨年10月-12月の国民所得統計で、GDPは前期に比べ実質で0.1%の低い伸び率、国民の所得の伸び悩みが消費を冷やしています。
国の来年度予算案には、1300億円も社会保障費の自然増を削り、生活保護の削減、医療では75歳以上の窓口2割負担や診療報酬全体で1%の引き下げ、介護では、中重度者を在宅に戻し、軽度者の介護外しが提案されており、さらに介護保険料、後期高齢者保険料、国民健康保険料の値上げなど、区民の暮らしに直接影響する負担増が押し寄せています。
この間、地域を歩くと、印刷会社の奥さんは「やっと9月期の決算が終わり、消費税を払いました。この消費税がなかったらどんなに助かるか。機械を買いかえたいけれども、設備投資もできない。これが消費税10%になったらやっていけない。何とかしてください。従業員もいるので、やめるにもやめられない。我々夫婦2人は給料は出ません。年金で何とか食べています」と切実な声です。消費税の引き上げ、国保、介護など社会保障の切り捨てから国民の命、暮らし、営業を守る地方自治体の役割に立って、国の悪政に真正面から反対し、撤回するよう求めることです。
特に、生活保護の生活扶助の最大5%削減は、2013年の最大10%削減に続く大改悪です。今回の削減では、子どもの数が多い世帯ほど削減額が大きくなり、都市部に暮らす夫婦と子ども1人世帯の場合、年3.6万円、夫婦と子ども2人世帯では年10.8万円の削減です。2013年の削減分と合わせると、年37万円もの減額になります。削減の理由を、生活保護を利用していない低所得世帯の生活水準が下がったから、それに合わせて引き下げるとしていますが、アベノミクスが失敗したことをみずから認める発言ではありませんか。また、安倍首相は施政方針演説で「生活保護世帯の子どもたちへの支援を拡充します」と述べましたが、やろうとしていることはまるで逆のことです。生活保護費の削減で介護保険料、保育料、就学援助費など約47項目に区民への影響が出ます。削減額160億円は、思いやり予算など米軍経費の増加分195億円でおつりが来ます。
地域の80歳を超えたひとり暮らしの女性は、お風呂のないアパート暮らし、年金が一月1万7000円、もう少し頑張るとスーパーで働いています。医療費がかかると病院に行くのもためらっています。本来ならば生活保護の対象になる収入の方々が、ぜいたくだ、遊んでいるなどとバッシングを恐れ、申請を諦めています。日本共産党志位和夫委員長は、2月5日、国会の予算委員会で、憲法25条に照らすならば権利であり、生活保護ではなく、生活保障法に名前を変えることを提案しました。
●健康で文化的な生活を営む権利の憲法25条を区民の手に取り戻すためにも、区長は国に生活保護費の引き下げをやめることを求めることです。お答えください。

【松原区長】
次に、生活保護制度に関するご質問でございますが、本制度は、全ての国民に対して健康で文化的な最低限度の生活を保障する第三のセーフティネットとして、社会保障制度の一つに位置づけられております。生活保護費の見直しに当たりましては、国において、国民の消費動向等、社会経済情勢を総合的に勘案したうえで、国民の最低生活を保障しつつ、自立の助長をより一層図る観点から検討されております。大田区におきましては、引き続き生活保護行政を適切に実施してまいります。

【すがや議員】
次に、大田区の2018年度予算案についてです。
区は、予算編成の基本的な考え方として、「『暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた』の実現につながる取り組みを確実に進めるとともに、さらなる未来に向け、力強い一歩を踏み出す予算を編成しました」と述べています。新年度予算案は、歳入歳出総額2787億7647万円余、前年度比169億円余、6.5%増と過去最大です。
今回の予算案では、認可保育園の24か所増設、保育士人材確保、特養ホームの増設、認知症グループホームの整備費補助、障がい者総合サポートセンター新館で重度心身障がい者児の短期入所受け入れ、障がい者の移動支援拡充、リフォーム助成拡充、消防団の分団小屋増設、諏訪橋、三木橋など橋梁の整備、JR大森駅東口下りエスカレーター設置など、党区議団も要望し、区民の皆さんの声が反映しているものであり、評価します。
しかし、区民生活を守る健康・福祉分野、大田区の基盤とも言える中小企業を応援する予算になっているかということです。予算案の第1の問題点は、4年前の消費税増税が住民の暮らしを圧迫している中、4月から国保、介護、後期高齢者保険料など社会保障費の値上げが予定されており、さらにこの間、区民生活を支えてきたあらゆる分野の施策を縮小・廃止し、自治体として持ち込んではいけない受益者負担を理由に、区民へ相次ぐ値上げで負担増を押しつけていることです。
新年度の予算編成方針でも、「目下の喫緊の課題解決とともに、区民目線に立った事業の見直し・再構築を行うことによる『選択と集中』をオール大田で一丸となって取り組む必要がある」とし、昨年4月から施設使用料2000万円、小中学校給食費総額1億4000万円、学童保育料、9月から保育料の総額1億7000万円値上げを進め、さらに新年度は臨海斎場火葬料の値上げを進めようとしています。
さらに新年度予算案では、健康診査では、前年度から1億3593万円余、6.8%の減で、そのうち胃がん検診1979万円余、5.4%減、大腸がん検診2547万円、14.3%減、子宮頸がん検診416万円余、15.9%減、前立腺がん326万円余、33.1%減となっており、自己負担の一部導入後、受診者が減るばかりです。また、アスベスト検診は35人分、わずか32万円の予算では全区民対象となっていません。これでは区民の命と健康を守る予算案になっていません。
耐震診断、耐震改修は前年度2億1000万円余、20.2%減に続いて、1億2036万円余、14.4%減と大幅減になりました。区民指定保養施設は2年前に補助金1000円と宿泊日数の削減で、3年前に比べ53%になり、使う人が少なくなっていると予算を減らしています。伊豆高原学園は「以前の伊豆高原荘は風情があってよかった。今は合宿所みたい」と言われています。中小企業のまち、ものづくりのまちと言われている大田区の産業経済費の予算は昨年より4億9000万円余増えていますが、総額42億円、構成比1.5%で、産業のまち大田区としてはあまりにも小規模の予算です。
●今こそ住民の暮らしと福祉を守るという地方自治体の原点に立った予算編成に改めるため、事業の廃止・縮小による住民負担増からの転換を求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、平成30年度予算編成における事業の廃止・縮小に関するご質問でございますが、様々な区政課題を解決していくためには、限りのある財源を効果的・効率的に配分していくことが必要であります。そのため、区は平成30年度予算編成において、区民目線に立った事業の見直し・再構築を行うことによる「選択と集中」をオール大田で一丸となって取り組みました。具体的には、「生涯を通して誰もが健やかに、安心して暮らせるまちづくり」など、優先すべき四つの重点課題を掲げ、一般財源への影響を踏まえた新規要求事業等の財源捻出、施策評価区長ヒアリングと予算の連動、経営改革の取り組み、部間連携の強化といった視点を持って、選択と集中を徹底した予算編成を行いました。本予算をもとに、平成30年度も引き続き区民生活の向上に資する各種事業を着実に推進してまいります。

【すがや議員】
アスベスト検診では、区の姿勢の転換を求めます。大森南の宮寺石綿理化工業の寮で暮らしていた女性は、母親と夫をアスベスト肺がんで亡くし、ご本人も胸膜プラークがあります。若い頃、就職試験ではいつも不合格、結核の診断で大変な生活でした。環境省は平成27年から石綿ばく露の検診を国が試行調査することにし、手を挙げれば国は認めるとしています。大田区は救済法での患者が多い自治体ですから、試行調査に手を挙げて、全区民対象に検診を実施すべきです。
区内中小企業の支援では、区内の印刷業者の方から「前は大田区からの仕事もあったのよね。区報の注文も全く仕事が来なくなってしまった。データを持っている業者が強いと思うけど、大田区の仕事は区内の業者に回してほしい」と、今の区の考え方が安ければよかろうになっていて、区内業者の育成や仕事起こしに目が向いていないのではないでしょうか。
今定例会に党区議団は中小企業次世代人材確保支援条例を提出しました。これは区内の町工場に行くと、人材の確保、育成に大変苦慮しているからです。大田区は中小企業全数調査に基づいて、2015年3月、大田区ものづくり産業実態調査を発表しました。従業員3人以下では「後継者がいない」が8割と調査結果が示しているにもかかわらず、区は手だてをとっていないので、党区議団は条例を出し喚起を促したのです。S工機会社では、「六郷工科高校から採用して大変助かっている」と社長の声です。今月1月1日号の区報1面は、地元大森西の町工場のご家族です。いい表情ですね。息子さんで3代目になります。後継者育成に本気で大田区が取り組むことです。
また、特に区民の皆さんからも、建設業の皆さんからも高い評価をいただいている住宅リフォーム助成制度は、今年度当初予算を6000万円に増額し、5期に分けて申請するようになりました。しかし、5回目の申請日、12月1日初日には、早朝から列をなし、午後2時には完了してしまったと聞きました。「大きい会社が五、六件持ち込まれると、うちまで回ってこない」などの声が聞こえてきます。来年度予算も6400万円に増額していますが、経済波及効果が大きく、地域経済振興のためにも予算の増額と申請改善を求めます。
●区民の命と健康を守ることや、区内中小企業対策や地域経済振興のために本気で取り組む予算にすべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、平成30年度予算における区民の健康・福祉や産業振興などに関する取り組みについてのご質問ですが、区は、平成30年度予算編成に当たって、優先的に対応すべき四つの重点課題を掲げ、区民生活や区内経済を守るための事業に取り組むことにしております。健康・福祉・医療の分野では、未曽有の高齢社会の進展を踏まえ、地域ぐるみのフレイル予防や、大田区国民健康保険第2期データヘルス計画に基づく保健事業を実施し、平成30年度は新たにかかりつけ医の検査データ活用による特定健康診査を実施いたします。産業分野では、商店街エリアサポーター事業として、商店街活性化の専門家が商店街や個店グループの課題に合わせた専門家集団を派遣し、コンサルティング等を行うことで、エリア全体の活性化につなげる取り組みを実施してまいります。また、工業集積の維持・強化に向けて、区内で操業を希望する企業が事業規模の拡張や事業の高度化のために行う工場の新設・移転等にかかわる経費の助成について、さらに使いやすいものといたします。その結果、平成30年度一般会計歳出予算における福祉費は、前年度当初予算比で約57億円、産業経済費は約5億円の増額となっております。
区民サービス向上のためには、ハード・ソフト両面から限られた財源をバランスよく配分することが重要でございます。こうした視点から、福祉・医療分野や産業振興に向けた取り組みにとどまらず、今後も引き続き区を取り巻く様々な分野における課題に対して積極果敢に取り組んでまいります。

【すがや議員】
第2の問題点は、不要不急の大規模開発事業に多額の税金投入で推進しようとしていることです。新年度の予算編成方針でも「羽田空港跡地や新空港線整備については、今後の取り組みの加速化に向けて、大きな転機を迎えている」として、大規模開発推進の姿勢です。新空港線では、第一期工事の総事業費は1260億円で、前年度に続いて当初予算から10億円の積み立てで総額48億円余となり、さらに整備主体の設立経費として1億8000万円です。新空港線「蒲蒲線」は、第1に、いまだに東京都と大田区の負担割合が決まらないこと、第2に、出資金がどこまでになるかわからないこと、第3に、第三セクターは今年度設立するとしていたのが実施できず、メンバーが誰になるかわからないことなど、問題が山積みで区民に説明がつきません。新空港線「蒲蒲線」計画は、多摩川線各駅は素通りで、蒲田の発展や区民の利便性も向上しません。
また、蒲田駅周辺地区の整備で、蒲田駅周辺中長期整備推進業務委託、耐火・耐震化を図るとして建て替え推進を進めようとしています。羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成として4億6313万円余を計上しました。空港跡地第1ゾーンの第一期事業予定地約5.9ヘクタールに鹿島建設を代表とするグループが、総延べ床面積12万5400平米規模の施設を建設するため、大田区は用地取得を3か年実施計画で新年度予算に計画しています。そのために空港対策積立基金172億円積み立てています。現在、国との調整で当初予算に用地取得費は入りませんでしたが、今後、新年度で予定されています。
羽田空港跡地約200ヘクタールについては、1945年9月21日、米占領軍による48時間以内に強制退去させられた歴史的経過が根底にあり、1981年8月、三者合意の確認書で「都が取得する」、「地元に配慮する」となっていますし、2008年5月1日にも松原区長は東京都に要望しています。また、当初の約200ヘクタールが77ヘクタールへ、さらに53ヘクタールから16.5ヘクタールへと大きく縮小され、区民の利用できる多目的広場はわずか2ヘクタールになりました。
●このような経過から、用地取得に区民の多額の税金を使うべきではありません。計画は変更して、16.5ヘクタールは当初の構想のように区民のための広場として使うべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、羽田空港跡地についてのご質問にお答えいたします。跡地第1ゾーンの取得に関しましては、これまで何回かご説明申し上げているところでございますが、跡地については、昭和56年に当時の運輸省、東京都、大田、品川両区により、東京都が取得する方法と時期について、関係機関との調整を踏まえ別途協議する旨、確認されておりましたが、その後、平成22年10月に国土交通省、東京都、地元区である大田、品川の三者で構成された羽田空港移転問題協議会により「羽田空港跡地まちづくり推進計画」が策定され、それまでの議論を踏まえ、「第1ゾーンについては、主に大田区が過去の経緯を踏まえて取得する方向で検討する」とされたものでございます。
また、跡地利用におきましても、この「羽田空港跡地まちづくり推進計画」に基づき、区が平成27年7月に策定した「羽田空港跡地第1ゾーン整備方針」など、これまでの経過、計画等を踏まえ、世界と地域をつなぐ新産業創造・発信拠点を形成するという理念のもとに事業を進めているところでございます。区といたしましては、引き続き、2020年のまちづくり概成を目指して跡地第1ゾーンのまちづくりを進めてまいります。

【すがや議員】
●これら大規模開発計画に積立基金と区税投入を進め、大規模開発に拍車をかけています。このような多額の税金投入の大規模開発優先の計画は中止することです。お答えください。

【松原区長】
次に、平成30年度予算編成に関するご質問でございますが、区は、平成30年度予算編成に当たり、限られた財源を有効に活用する「選択と集中」の考え方を基本に、「次代を担う子どもたちの育ちを、切れ目なく応援する取り組み」、「まちの魅力を磨き、世界に輝く国際都市おおたを創造・発信する取り組み」など、四つの重点課題を設定し、特に優先的に取り組むこととしております。具体的には、待機児童の解消や超高齢社会への備え、様々な産業振興施策など、区政を取り巻く喫緊の課題に積極的に対応してまいります。あわせて、公共施設の機能更新や羽田空港跡地をはじめとしたまちづくりなど、にぎわいと活力の創出に向けた取り組みを進めることで、区民生活のさらなる向上につなげてまいります。このように、平成30年度は、これまでに引き続き、ソフト・ハード両面において、区民の皆様にとって必要な施策を着実に推進することで、「暮らしてよし、訪れてよし、地域力あふれる 国際都市おおた」を実現してまいります。

【すがや議員】
第3の問題点は、一層の民営化と非常勤職員の配置や臨時職員を活用しようとしていることです。組織・職員定数の基本方針で外部化の再検証を挙げているものの、簡素で効率的な組織整備で一層の民営化と適切な非常勤職員の設置及び臨時職員の活用を進めようとしていることです。松原区長になって、2009年、区立幼稚園全廃、区立保育園拠点園18か所残す構想、児童館や学童保育の民間委託、図書館や障がい者施設の指定管理者制度など、経費削減とサービス向上を理由に進めてきました。特に保育園では、松原区長になって10年間で私立認可保育園を52園つくり、定員4563人増えましたが、園庭のないビルやマンションの中が多く、株式会社はゼロから27園に増え、今後の計画でさらに増えます。
今、保育士の確保が困難になっています。国や東京都、大田区は、保育士が集まらない状況の中で、保育従事職員宿舎借り上げ事業や保育士応援手当など処遇改善策を出しましたが、それでも他業種の賃金と比べて低く、今年の4月から民間委託する保育園でも保育士確保に苦労しています。一方、昨年の区立保育士募集30人に5倍を超える応募ですから、区立保育園をわざわざ民間委託することはやめて、区立は区立のままで残すことです。また、新年度予算案では、学校教職員の負担軽減として、副校長先生の補佐、部活動の指導員など非常勤職員で対応となっています。これまでも小中学校の読書教育司書、スクールカウンセラー、保育園、学童保育など非常勤の採用を強めていますが、正規職員を採用すべきです。民間委託や指定管理者制度で働く職員は不安定、低賃金の非正規労働者が多く、自治体みずから官製ワーキングプアをつくり出しています。
●職員確保や保育の質を確保するために、保育園の民営化は中止すること、必要な職員は正規職員にして採用することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、区立保育園の民営化と正規職員に関するご質問でございますが、区立直営園につきましては、拠点園として特別出張所管内におおむね1園の計18園を残し、順次民営化していく方針に変更はございません。また、区の保育士については、今後も退職者の状況を踏まえ、計画的な採用を行い、役割や業務に応じた必要な人員を適切に配置してまいります。

【すがや議員】
次に、予算と関連してお聞きします。
まず、児童福祉費の分野では、待機児童対策として認可保育園整備費は28億円余で、認可保育園24施設をはじめとした27施設、1000人定員を増やすので評価できますが、まだまだ足りません。先日2月9日に保育園入園の可否の通知が届けられました。不承諾の通知を受けた子どもの親から「4月から職場に復帰できない。働かなければならないから預けたのに求職中は点数が上がらない。私たちの生活の厳しさをもっと知ってほしい」など相談が多く寄せられています。松原区長は、大田区10か年基本計画「おおた未来プラン10年」で保育園待機児童解消の目標を平成30年としていましたが、その後の実施計画で区民に約束を1年間先延ばしたことは問題です。また、昨年1100人の定員増をしても不承諾の通知が届いているのですから、党区議団が繰り返し指摘しているように、認可保育園を希望しても入れなかった数に応じた計画を持たないから待機児童を解消できないのです。
●まず、今年4月の申込者数と保留数、待機児童数をお知らせください。次に、待機児童を出さないために、不承諾の数を目標にして認可保育園の増設を進めることです。そのために、母子手帳申請のときに保育園入園希望を調査するなど、実態に合った目標を設定し、来年4月には待機児童ゼロにすることです。お答えください。

【松原区長】
次に、認可保育園の申請状況とその数に見合う整備についてのご質問でございますが、現在、一次申請分の結果が出た段階でございますが、申込者数は5332人、保留数は1756人となっております。なお、待機児童数につきましては、二次申請結果などに基づき算定いたしますので、現時点では未確定でございます。施設整備に当たりましては、申請状況や待機児童数などに加え、新たに妊娠届を出された方の就労状況や地域分布などを分析したうえで計画をしております。引き続き、認可保育園をはじめ小規模保育所などを組み合わせた整備を進めながら、待機児童解消を目指してまいります。

【すがや議員】
党区議団は、国有地や都有地の空き地を積極的に活用して、認可保育園や特養ホームをつくるように求めてきました。今回、鵜の木にある水道局の駐車場に認可保育園の増設は評価できるものです。このたび、大森西五丁目の大森消防署山谷出張所が移転し、2月26日に落成式、3月に移転地での新調査事務が開始になります。この山谷出張所の跡地には、保育園をつくってほしい、高齢者が集える場所をつくってほしい、また、地域の方から以前、高齢者の住宅をつくってほしいという陳情が出されています。新庁舎移転後には普通財産となり、東京都財務局が所有することになるとのことです。
●区民のため、区が保育所等使用目的を決定して、約200坪のこの土地を区が活用できるよう東京都に求めることです。お答えください。

【松原区長】
次に、大森西地区の都有地活用についてのご質問でございますが、平成29年4月の大森西地区の待機児童数は42名と、特別出張所別では4番目に多い地区となっております。これを踏まえまして、平成29年度は大森西地区に2施設86名分の定員拡充を図りました。また、平成30年度においても新たな開設に向けた計画を進めているところでございます。東京都は、平成28年9月に待機児童解消に向けた緊急対策として都有地活用推進本部を設置し、各自治体に対し都有地活用の情報提供を行っています。東京都全体で活用された6件のうち、1件が鵜の木の都有地となっております。引き続き、お話しいただいた物件に限らず、東京都と連携を図りながら、必要に応じた都有地活用を検討してまいります。

【すがや議員】
次に、大田区は2008年まで区立幼稚園がありましたが、現在私立幼稚園のみ、8834人の子どもたちが通っています。今、私立幼稚園では預かり保育の人数が増え、長時間受け入れています。また、特別に支援の必要な子どもたち、31園で183人の子どもたちの受け入れがされているとのことです。しかし、補助額が年間1人当たり30万円では、特別に支援の必要な子どもを受け入れたくても職員の確保が困難とも聞いています。
●区立幼稚園が廃止されて9年になりますが、私立幼稚園での特別に支援の必要な子どもたちの受け入れのためには、幼稚園教諭確保のための人件費加算を求めます。また、私立幼稚園でも人材不足は深刻です。保育士と同じように、月1万円出ている処遇改善手当と宿舎借り上げ制度の創設を求めます。お答えください。

【小黒教育長】
私からは、まず私立幼稚園の特別な支援を要する園児の受け入れと幼稚園教諭の処遇に関するご質問にお答えいたします。
区では、積極的に特別支援教育を実施している私立幼稚園に対する補助制度を設けております。補助内容は、特別な支援を要する園児の教育条件の維持・向上のために要した経費のうち、給与費、設備関係費に対し、対象園児1人当たり30万円を支給するものです。他区と比較しても引けをとらない補助額となっております。
次に、幼稚園教諭の処遇に対する補助制度についてのご質問ですが、私立幼稚園については、東京都より補助金が交付されているほか、区としても様々な援助を行っております。特に、私立幼稚園振興費補助金につきましては、東京都でも随一の交付額としております。補助額の85%までを人件費に充当することを認めております。区としても、私立幼稚園教諭の安定的な確保、定着を促進することは重要であると認識しており、今後は、私立幼稚園の人材確保の状況を見極めながら、必要な対策を検討してまいります。

社会保障の立場に立った国民健康保険制度について

【すがや議員】
次に、2018年度から制度の枠組みが大きく変わる国民健康保険制度についてです。
4月から都道府県広域化がスタートするため、大田区では2月17日、国保運営協議会で区長より諮問が出され、異議なく答申されました。国民健康保険制度は、協会けんぽ、組合健保に加入していない方々を受け入れている国民皆保険制度を支える重要な基礎となる制度です。最近の数字として、2月1日の国会質疑では、国保、協会けんぽ、組合健保それぞれが加入者1人当たりの所得に対する保険料負担の割合は、国民健康保険は10.0%、被用者保険である協会けんぽは7.6%、組合健保5.8%、つまり国保加入者は組合健保の1.6倍、協会けんぽの1.3倍と重い負担になっています。
また、国保制度発足時1965年と直近の加入世帯の職業構成割合は、農林水産、自営業が約7割を占めていたものが、現状は農林水産業、自営業約2割、無職年金暮らし、非正規雇用を合わせると約8割です。また、65歳から74歳の割合では、市町村国保が4割と高い比率で、医療費では協会けんぽ、組合健保の倍を超えるものの、平均所得は半分となっており、国保加入者の負担が重くなっています。
政府は、世論と運動や地方からの要請を受け、国保料の算定に当たり、国からの財政支援を計上し、区市町村がこれまで行ってきた国保会計への法定外繰り入れの継続を認めるなど、都道府県に対し国民健康保険料が新制度導入によって高騰することがないよう、激変緩和対策を行うことになりました。東京都は、市町村や特別区長会などの申し入れや世論の反映で14億円の法定外繰り入れを行いましたが、1人当たりに計算すると、わずか年400円です。区の繰入額は約30億円ですが、まだまだ足りません。国保加入者の所得が改善しないもとで、高齢者や非正規雇用者への国保料の負担は生活をますます圧迫するものです。
●2月17日、大田区国民健康保険運営協議会で答申した金額は1人当たり平均12万1988円、前年度より3547円の負担増です。介護分は年平均3万3191円、前年度より2232円増です。これ以上の負担増にしないよう国、東京都に求めるとともに、国民健康保険料はさらなる一般財源から繰り入れをして、大田区が保険料の引き下げを行うことです。お答えください。

【松原区長】
次に、国民健康保険料についてのご質問でございますが、平成30年度から、制度改革により、国保の財政基盤を強化するため財政赤字に見合う公費が投入され、都道府県が区市町村とともに保険者となって財政運営の責任主体となり、制度の安定化を図ります。新しい仕組みによる区市町村ごとの納付金額と標準保険料率が公表されております。納付金額や標準保険料率は医療費水準や所得水準に応じて算出されるため、区にとっては厳しい数字が東京都から示されております。区は、国民皆保険の基盤を支える国民健康保険事業を責任を持って運営する保険者として、この状況に真剣に向き合っていかなければならないと考えております。
平成30年度の特別区国保料につきましては、納付金方式の導入を踏まえた料率を検討し、国保制度改革による将来的な方向性に沿い、新しい方式に段階的に移行すべく、原則的に23区統一で対応してまいります。平成30年度の特別区共通基準に基づく保険料率の算定では、国と東京都の激変緩和措置に加え、特別区独自の激変緩和措置を行います。激変緩和措置の期間を目途に、法定外繰り入れの縮減・解消を段階的に行ってまいります。国、東京都に対しては、23区として財政支援を求めております。特別区共通基準に基づく国民健康保険料率の算出に当たりましては、被保険者が減少する中で医療費が増えている状況のもと、被保険者の皆様の過大な負担とならないよう、十分に検討を重ねたものでございます。一般会計からの繰り入れを増やすことによる独自の保険料の引き下げは考えておりません。

【すがや議員】
日本共産党の倉林明子議員は、昨年12月5日の国会質問で、地方六団体などから出ている子どもの医療費助成にかかわるペナルティーの解消について質問しました。自治体が子ども医療費助成を行うと国保への交付金が減らされるペナルティーについて、政府は来年度から未就学児については減額調整を見直すとしました。見直しを知らせる厚労省の通知には、見直しにより生じた財源はほかの少子化対策に充てるようにと書かれていますが、倉林明子参議院議員の質問に、「自治体がさらなる医療費助成の拡充に活用することを禁止するものでない。自治体みずから適切に判断していただくことを想定した通知だ」と答えています。
●大田区は、このペナルティーの一部解消で生じた財源約4054万円でさらなる年齢の拡大の一部に使うこと、また、国に対して、就学児以降もペナルティーを解消し、減額調整を見直すよう求めることです。お答えください。

【松原区長】
次に、子ども医療費助成制度の年齢拡大についてのご質問ですが、国保制度の見直しによる財源は、さらなる医療費助成の拡大ではなく、妊娠期から子育て期までの切れ目のない子育て支援体制の拡充に充てるべきとされております。区における子どもに対する医療費助成は、これまで国制度の6歳までの一部負担金の減額に上乗せをして、15歳までの窓口負担額を全額助成するとともに、所得制限を撤廃するなど医療費助成制度の拡充に努めてまいりました。また、ひとり親家庭や障害、難病など、真に必要な家庭の18歳までの児童に対しては、他の制度において医療費助成が行われております。このようなことから、区の子ども医療費助成制度における年齢の拡大は考えておりません。なお、子ども医療費助成に係る国保の減額調整措置の廃止については、既に全国知事会、全国市長会が自治体の総意として国に要望しているところでございます。

高齢者の尊厳を守る第7期介護保険制度について

【すがや議員】
次に、介護の問題です。
2015年に続き、介護保険2017年改革は、要支援1・2の方々への予防給付を自治体が独自に実施する新総合事業へ変更する内容です。既に地域の方々から「ヘルパーさんの派遣が受けられなくなる」「アパートの2階に住んでいる。おむつを使うようになって、45リットルのごみ袋にいっぱい入った重いごみを自分で持って階段を下りてごみ出しするのは無理」「ご近所の方に頼みなさいって言ったって、誰に頼むのよ」「500円出せば来てくれるって言っているけど、ごみを集めに来る時間までに来れないって」、また、「週1回デイサービスに行って歩行の訓練と自転車こぎをしていたの。やっぱり歩くのが大変になっているからデイサービスに行くのは大切」など、要支援1・2が介護からの追い出しによって、利用者や事業者にとって、もう既に混乱が始まっています。
国の介護保険制度2017年改革では、第1の柱、介護保険制度の持続可能性の確保として、現役並み所得者の利用料3割負担や介護納付金に対する総報酬割導入、第2の柱は、地域包括ケアシステムの深化・推進として、自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化などの二つの柱で具体化されています。この背景には、第1に、利用料3割化など給付と負担の見直し、第2に、病床削減の受け皿として地域包括ケアを構築し、入院から在宅へ、医療から介護へ、介護からボランティアへの医療・介護の一体改革、第3に、これまで高齢者のみを対象としていた現在の地域包括ケアを、障がい者、子どもも含め、全世代に対応する地域包括ケアに転換させる福祉のあり方の見直しの三つの政策があります。2016年、政府が打ち出した「我が事・丸ごと」地域共生社会構想です。福祉領域における公的給付を住民全体の互助に置き換えていくものであり、新たな全世代型地域包括ケアが位置づけられました。
さらに国は、自立支援の名のもとに、生活援助の介護報酬引き下げ、利用回数の多い頻回利用者は地域ケア会議にかけるなどして利用削減をさらに狙っています。また、要介護1・2に認定された人を介護保険から外すことを2019年末までに検討するとしています。国の改悪に立ち向かうことが大田区に求められます。
まず、保険料の問題です。介護保険料の値上げは高齢者の生活を圧迫します。先に述べたように、介護保険料を納めているのに介護外しで介護が受けられない高齢者が出てきます。大田区は第6期事業で約5億6000万円基金を繰り入れたものの、特別会計第2次補正で20億円残すことが明らかになりました。20億円あれば低所得者の支援や介護保険料引き下げの負担軽減ができます。
●2018年度から第7期介護保険事業が策定され、大田区では新たな介護保険料がこの議会に提案されます。介護保険制度が始まった2000年から3年ごと毎回引き上げられ、基準額3070円から6000円にほぼ倍の値上げです。保険料の値上げをしないことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、第7期介護保険事業計画の介護保険料についてでございますが、介護保険料は、介護保険事業計画の期間中における要支援・要介護認定数や介護保険施設の整備状況などから、保険給付費及び地域支援事業費の見込み額を推計し、保険料を算出しております。第7期介護保険事業計画においては、介護サービスを必要とする方の割合が高まる75歳以上の高齢者が大幅に増加しております。こうした介護需要の増加に伴う介護給付費の自然増とともに、介護報酬の0.54%の引き上げや、介護給付費等に対する第1号被保険者の負担割合が22%から23%に拡充される等の上昇要因を踏まえ、介護保険給付費は1650億円を見込んでおります。一方、保険料の上昇を最小限に抑制するため、介護給付費準備基金の活用や高所得段階における基準額に対する比率の引き上げ等を行い、保険料基本月額を6000円に設定し、今定例会に大田区介護保険条例の一部を改正する条例案を提出いたしました。今後とも、保険料と公費を財源とした介護保険事業の安定的な制度運営に努めてまいります。

【すがや議員】
次に、特養ホーム待機者の問題です。老老介護、80歳の親を50歳の息子が介護するなどという言葉が使われています。とっても元気があった80歳の奥さんが、母親、姉や弟を相次いで亡くされ、うつ状態が激しくなりました。2年ぐらいは自宅で訪問介護を利用しながら、ご主人が見ておられましたが、せっぱ詰まって有料老人ホームに奥さんを入所させました。「あと2年ぐらいは貯金を取り崩してもつかもしれないけど、特養ホームに入りたい」、同じように「自宅では見きれなくなった。どうしようもなくなって、息子に少し手伝ってもらって有料老人ホームに入れた。入所金300万円、月23万円かかる。特養ホームに入れないか」「国民年金でも入れるようなところはないか」など相談が相次いでいます。特養ホームの増設は待ったなしです。
●党区議団は、常に特養ホーム増設で待機者ゼロにすることを提案していますが、国有地、都有地、区有地の確保を大田区が進めることです。また、区の資料、要介護4の場合では、今年4月開設予定のケアホーム千鳥含む区内特養ホーム18か所のうち9か所は月額利用料金12万8760円から16万5990円で、とても高い金額になっています。減免制度の拡大を国に求めるとともに、大田区としても独自に支援することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、特別養護老人ホームについてのご質問ですが、区は、第6期介護保険事業計画に基づき、3年間で4施設225床の特別養護老人ホームを開設しました。さらに、現在、2施設159床の準備を進めております。これらの整備は、国有地の情報を区が事業者に提供するなど、用地確保に向けた支援を行いながら進めたものです。利用料金については、低所得の方を対象に、その所得に応じた自己負担額が定められ、差額分は介護保険の制度として給付されています。また、国の制度として社会福祉法人が実施する利用者負担軽減制度の対象者に対して、区はさらに負担軽減策を上乗せすることで自己負担額の軽減を図るとともに、制度参入法人への助成も実施しております。区は、これらの軽減制度を継続してまいります。

どの子どもたちも大切にする大田区の役割について

【すがや議員】
次に、子どもの問題です。
安倍首相は消費税増税分の一部を教育無償化に使うことを総選挙に掲げましたが、生産性革命、人づくり革命を柱に今後の経済政策を行うとして、幼児教育の無償化の実施時期は、消費税率引き上げの時期との関係で増収額に合わせ、2019年4月から一部をスタートし、2020年から全面的に実施とするなど許せないものです。「子どもの貧困」という言葉がメディアで注目されるようになって4年、なぜ貧困なのか改善されないまま、国は子どもの貧困対策の推進に関する法律や大綱を作成、しかし、その背景にある親の所得の低さ、親がワーキングプアの状態であるのに親への所得再配分政策がないまま進んでいるので、子ども食堂、無料塾など学習支援、フードバンク等、善意に頼ることで解決にはなっていません。雇用政策や社会保障政策での解決が求められるものです。
また、国の奨学金を返せず自己破産するケースが、借りた本人だけでなく親族にも広がっていることが報道されました。荒川区では返済免除要件の緩和が行われ、卒業後、区内に5年間在住、うち2年間区民税を納めた場合、返済を免除するなど支援策が広がっていますので、さらなる大田区の拡充を求めます。
大田区では、小学5年生とその保護者全員にアンケートを行い、「おおた子どもの生活応援プラン」を発表しました。東京都も首都大学東京と協力し子ども実態調査を行い、子どもの2割以上が生活困難層がいることを明らかにしました。「1日の食事は学校の給食だけ」「それなら週1度でもおいしい食事を」と子ども食堂がニュースで流れます。日本共産党の星見都議は、親の長時間労働などで孤食を強いられている子どもたちが増えていることを捉え、子ども食堂支援強化を求め、都知事は「子ども食堂のような取り組みが進むよう、しっかり支援していく」と答えて、1月に予算化しています。4月から、支援の内容は、子ども食堂に東京都が自治体を通じて10分の10補助、1回1万円、年24万円という内容です。東京都が補助することを関係者に周知徹底することを求めます。
●区長は定例会挨拶で、子ども食堂について、「区は、『社会的包摂』の理念のもと、世代や立場を超えて、身近な人同士が支え合う温かい支援の輪を広げるとともに、子どもと保護者の自立を支援する取り組みを進めてまいります」と述べています。各子ども食堂の実情をよく聞いて、大田区としても運営費補助をして応援することです。お答えください。

【松原区長】
次に、子ども食堂への支援に関するご質問でございますが、子ども食堂は、区民が人間関係の希薄化・孤立化を地域課題と捉え、主体的に解決に取り組む気運の高まりから生まれていると言われています。また、区民主体であるからこそ、地域の特性があらわれており、子どもはもちろん、保護者や高齢者など誰もが集える地域の居場所として受け入れられていると考えられます。こうしたことを背景に、地域の方々からは、子ども食堂などの自主活動団体に対し協力したいという声も寄せられております。子ども食堂などの区民活動においては、自主性や主体性を尊重した支援が必要でございます。大田区社会福祉協議会では、サロン活動支援事業を実施しており、広報活動や団体活動費の助成などの支援を行っております。区は、東京都や大田区社会福祉協議会の助成制度を周知するとともに、引き続き、関係機関と連携し、子どもとその家庭が抱える多様な課題を、地域力をもって解決することを推進してまいります。

【すがや議員】
卒業、入学のシーズンを迎えました。「子どもが区立中学生になるので制服の購入に行ったら、制服上下、夏服、ベスト、ネクタイ、かばん、体操着などで9万円かかって払いきれず、後で払うことにして帰ってきました」と、びっくりしていました。大田区では、区立小学校、中学校の就学援助の入学準備金の前倒し支給を踏み出したことは区民の皆さんからも喜ばれており、そして党区議団は6年前から提案しており、大きく評価するものです。貧困対策としてもとても大切です。
●しかし、入学準備金の支給額、小学1年生2万3210円、中学1年生2万6120円では全く足りません。豊島区などのように増額することを求めます。また、国は生活保護費を削減しようとしており、就学援助が影響を受けます。子どもの貧困が社会的な問題になる中で、国の引き下げは許せませんし、区は、これまで行ってきたように、子どもたちに影響が出ないようにすることです。さらに、生活保護基準の1.3倍や就学援助費の中に眼鏡、部活動費、教材費など来年度予算に大田区が拡充することを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、就学援助費の増額や支給基準の見直し及び眼鏡、部活動費等の新たな支給項目の新設に関するご質問でございますが、ご質問の認定基準や支給額の増額などにつきましては、景気の動向や社会経済状況、加えて都区財政調整制度における積算単価などを踏まえながら、適切に判断してまいります。

以  上

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