第4回定例会一般質問(速報)―黒沼議員(11月30日)



(映像は大田区議会ホームページより:33分)

【黒沼議員】
日本共産党大田区議団の黒沼良光です。通告に従って順次質問します。

羽田空港跡地第一ゾーン計画を区民のために変更することについて

【黒沼議員】
羽田空港跡地開発が区民の消費基盤と中小零細企業の崩れを食い止めるのに役立つのか、技術活用できるのか、雇用増で消費基盤の確立を保障できるのかについて伺います。跡地第1ゾーンの特区構想に基づく“大田区企業立地促進計画(第二次)”に従来の大田区の中小企業の役割を否定しベンチャー企業に特化する内容が記されています。「産業の新陳代謝でモノづくり集積の再構築を図るためには、区内製造業の産業構造そのものを、より高付加価値型の産業構造へとシフトしていく必要がある。航空機関連産業、ロボット産業の先端技術を支えるモノづくり基盤技術として区内企業との融合を図るものでベンチャー企業に特化しています。跡地はやはり、区の考えるような開発にではなく、以前区民との約束であった「区民の広場」にすべきです。「地域未来投資促進法」は医療・介護のビッグデータの活用、ロボット開発、無人自動車走行車のための規制緩和などで総じて大企業の儲け口を提供するものです。圧倒的地域中小企業、小規模事業者を蚊帳の外に置き、一握りの「稼ぐ力のある中核企業のみしか支援しない内容です。特区でこれまでの産業集積支援を放棄し、成長分野のみに集中投資しようとするとんでもない内容です。大田区の羽田空港跡地第1ゾーン整備の運営事業者の提案概要はまさにこの具体化です。
鹿島建設とトヨタ自動車はICTを活用したロボット革命として、中小企業への小型汎用ロボットの導入、介護ロボット、郊外対応ロボット、災害対応ロボット、など様々なロボット導入で大企業のための空港跡地特区の活用です。
ごくわずかなベンチャー企業だけしか生き残れない内容でさらに区内産業を衰退させるものです。
●そこでお聞きします。大田区は羽田跡地計画でベンチャー企業に偏り、その集積を図り、新陳代謝、シフトについていかれない企業は必要としないのは切り捨てると同じことです。羽田跡地計画は、文化産業も含めて、まさに特区構想の「世界で一番大企業が活動しやすい」ことを目的にした大企業に便宜を図る開発になってしまっているのではないでしょうか、お答えください。

【空港まちづくり本部長】
羽田空港跡地第1ゾーンについてのご質問でございますが、この件については、これまでに何回もご説明申し上げており、繰り返しになるところも多くなりますが、お答えをいたします。羽田空港跡地は、高度なものづくり技術を有する中小企業が集積する京浜臨海部に位置し、24時間国際拠点空港である羽田空港に隣接するなどの優れた立地特性を活かした、この場所でしかできない取り組みが求められます。
国内外から企業・人材・情報を呼び込み、交流させることで、区内中小企業にとっても、ビジネスチャンスが広がることが期待されます。このような背景をもとに、区は「羽田空港跡地第1ゾーン整備方針」を定め、「新産業創造・発信拠点の形成」をコンセプトに、その「基本方針」の第一番目に「中小企業と多様な主体との協創により、新製品・新技術を創出する」旨を盛り込みました。事業予定者の提案内容もこの点を反映し、健康医療、ロボティクス、先端モビリティの3つの先端産業分野を展開し、新産業の創造と発信を図るものとなっています。また、文化産業の面においても、立地を活かし、インバウンドを意識した事業をはじめ、多様な集客を想定した事業が盛り込まれております。加えて、羽田空港や跡地第2ゾーン、区市街地などの周辺地域との回遊性も念顕に置き、機能連携を図ることで、さらに跡地の魅力向上と区内への波及効果などの相乗効果が見込めると考えております。「新産業創造・発信拠点」が、区の産業の存在感を高め、その集積の強化に寄与するものとなるよう、引き続き取り組んでまいります。

【黒沼議員】
区内中小企業には先端技術やベンチャーへの転換だけを迫るのではなく、培ってきた技術と技能を発揮できて、中小企業・零細企業が生き残れて、雇用も増し、経済波及効果が広がり少子化克服の道へ進むことのできる大田区へこそ舵を切るべきです。
ここで日本共産党大田区議団の提案をさせていただきます。雇用の7割を占める中小企業が好循環にならない限り日本経済も大田区経済も健全な成長が望めないという立場から提案します。日本共産党大田区議団は区内中小企業を三つの角度から貴重な社会的価値があるとみています。第1は技術水準の高さです。国宝級の技術者がいて大田区のみならず日本の産業を今でも支えています。第2は、2015年の全数調査にもあるように大田区の製造業集積の受注先が区内主体が30%、京浜工業地帯中心に首都圏が約35%、他(ほか)国内14%と依然全国に取引先を持っていて日本のモノづくり全体を支える役割を今でも果たしています。第3に関東産業経済局のレポートとしてかつて出されましたが地域社会を支える役割を強調し、大田区の工場集積は地域文化の担い手であり地域諸活動の主体であり、地域の公共財、社会資本としての役割を担っているとあります。
●大田区は、これら3つの特徴を改めて位置づけて区内の技術を生かした自然再生エネルギー部門への思い切った取り組みを強めることです。そのカギとなるのが経営者も含めた中小企業振興協議会の設置です。振興協議会から意見を取り入れてこそ具体的な支援策をつくっていくことができます。こうしてこそ中小零細企業を守ることで街も守り、大田区を守り発展させることになるのではないでしょうか。お答えください。

【産業経済部長】
中小企業振興協議会を設置し中小企業を守ることについてのご質問です。大田区のものづくり企業は、日頃培った高い技術力を武器に、幅広い市場への参入に挑戦し続けることで、日本のものづくりを支えると共に、大田のブランド力を高めてきたと考えております。区は、個々の企業の努力や挑戦を後押しし、取引につながる機会が創出されるような支援に、力を入れてまいりました。技術を生かした自然再生エネルギー等の新技術については、「新製品・新技術開発支援事業」により支援しているところです。また議員ご提案の、中小企業振興協議会の設置についてですが、区としては、区内各地域の工業団体を取りまとめる、一般社団法人大田工業連合会が、その役割を担っているものと考えております。区は引き続き、大田工業連合会と連携・協力し、大田区産業振興協会の機能も活かしながら、区内ものづくり産業の振興に取り組んでまいります。

【黒沼議員】
●もう一つの大事な政策として、区内中小企業の今なお重要な部品加工の特質を生かしていくには親会社との取引が公正に行われることです。下請け代金法は単価の厳守を、下請け振興法は下請けに一定の仕事を発注し利益を保障するというものです。この下請け二法の厳格な執行を大田区は政府に対して繰り返し要求していくことです。お答えください。

【産業経済部長】
いわゆる「下請け二法」のご質問です。国においてはこれらの法整備と共に、様々な取組を行うことで、下請け取引の適正化を推進しております。「下請け適正取引等推進のためのガイドライン」は、これまでに17業種で策定され、改訂を重ねています。さらに、いわゆる「下請けGメン」などは、平成29年1月から下請け中小企業への訪問調査を開始しています。この他に、東京都中小企業振興公社においては、下請け取引に関する苦情及び紛争についての相談・調停・あっせんを行っています。また、区では「ビジネスサポート」による下請け中小企業からのご相談に対応すると共に、国や都の相談窓口のご紹介もしております。このように、下請け二法の適正な執行に向けては、多様な取組が行われており、区としましては、今後も引き続き、こうした取組について注視してまいります。

【黒沼議員】
●住宅リフォーム対策を発展させた商店リニューアル制度の提案です。全国に広がっています。これまで幾度となく提案してきましたが、区内の事業者を条件に費用の50%、限度額100万円まで助成を求めます。助成額の何倍もの金額の仕事が区内の業者に回ってきます。区の繁盛店創出事業は昨年21店舗1千万円台の実績でしかありません。繁盛店創出事業よりも桁違いの経済効果が期待されます。区税収が増える展望も出てきます。お答えください。

【産業経済部長】
区では、繁盛店創出事業として、経営指導や店舗デザインなどの専門家の診断に基づいて行う店舗改修や宣伝広告等に、対象経費の2分の1、50万円を限度として助成しております。
この事業を通じて店舗を改修した結果、明るい雰囲気になり、お客様が増え、売上げが倍増したなど評価をいただいており、専門家ならではの視点で繁盛店を創出しております。
区では、引き続き、魅力あふれる店舗づくりや集客力アップなどを目的とする、繁盛店創出事業に取り組んでまいります。ご提案の住宅リフォーム対策を発展させた商店リニューアル制度を創設する考えはございません。

特養ホームの計画予定地の西糀谷一丁目の気象庁跡地を縦貫する都市計画道路補助39号線の廃止を求める件について

【黒沼議員】
次に、都市計画道路、補助39号線は廃止こそ妥当との立場で質問します。
西糀谷一丁目の気象庁宿舎跡地約3000㎡に民間の特養ホームの見通しが立ちましたがこの敷地には面積3分の1を占める幅20m予定の都市計画道路計画が縦断しているために計画道路を挟んで、ツインタワー形式の設計で進んでいるようです。補助39号線は敗戦後に戦災復興基本計画されました。日本中が焦土と化し、国としても財政難で細部までは手が及ばず今日まで動きないままです。もはや焼野原でなくなった今日、計画を実行しようとすれば安楽寺の墓地をつぶし、私立パール幼稚園の敷地を削り、西糀谷の新築が並ぶ住宅、南蒲田・萩中の新築が多い住宅地を蹂躙して進む計画になり地域破壊計画となります。それでも大田区は防災まちづくり上必要と言っています。しかし防災の基本は住宅を壊れにくく、燃えにくくし、車の道路ではなく、人の生活を中心にした“みち”を整備することです。ミニ防災公園や公園を整備することなどです。この立場に立てば補助39号線は必要ありません。東京都の4次計画は39号線の多摩川土手にぶつかる部分270mを計画内容再検討路線にし、隣接都市と調整・検討が必要としました。大田区と川崎をつなげるとしか今のところ考えられません。
●大企業の開発のためにではなく、特養建設のめどがたった今回をチャンスとして区も公用地の有効活用のため、真のまちづくりのため、補助39号線は廃止の立場に立つべきです。お答えください。

【まちづくり推進部長】
区部の都市計画道路は、昭和21年の戦災復興計画を基本とするものですが・東京都は昭和25年の初回見直し以来、昭和39年、41年、56年に、それぞれ社会経済情勢を踏まえた見直しを実施して参りました。更に平成16年と平成28年には、東京都と区が協力して「都市計画道路の整備方針」を策定する中で、その必要性の検証を全面的に行ったところでございます。議員お話しの都市計画道路補助39号は、木造住宅が密集するため、特に不燃化を推進すべきとされる不燃化特区のエリアを南北に貫く道路でございます。不燃化特区エリアの不燃領域率は、平成27年の参考値で62%であり、平成32年度の目標値70%に向けて、建替え助成などの利用促進に努めているところです。また、火災の延焼を遮断するには、建物同士の離隔をとることが重要で、このエリアでは、震災時の初期段階の延焼を防止し、避難路を確保するために、地区計画で定める重要な道路に6mの空間を確保することとしています。更に首都直下地震などによる大規模火災を想定すると、延焼火災の危険性の高いこのような地区においては、火災延焼を防ぐ効果の大きい幅員20mの都市計画道路の整備は、延焼遮断帯を形成して防災性を向上させる役割を果たすため、重要と考えております。なお、都市計画道路補助39号線の南端は、多摩川河川区域の手前までであり多摩川河川上に都市計画は定められておりません。

義務教育無償化に向け、まず緊急に教材等の保護者負担の軽減をすることについて

【黒沼議員】
次に「教育無償化」について伺います。
国立社会保障・人口問題研究所の2015年調査「出生動向」基本調査では「理想の子ども数を持たない理由」について、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と回答しているのが30歳未満では76.5%、30~34歳は81.1%です。今回の総選挙で、安倍総理は「教育無償化」を打ち出しましたが教育費を年々減らしてきた安倍内閣さえ、そう言わざるを得ないほど日本は教育にかかる私費が極めて高く、世界から見ると考えられないほど重くなっています。日本共産党は、教育は子どもが人間らしく生きていくための重要な権利であり、家庭の経済力にかかわらず、すべての子どもたちに豊かに保障される必要があると考えています。国の制度で無償なのは法律では授業料と教科書だけで、保護者の負担は、文部科学省調べで、公立小学生で年平均約10万2000円、公立中学生は同約16万7000円です。
全日本教職員組合(全教)の調査では1742自治体中981の自治体から回答がありましたが、122自治体が給食費補助を行い、112自治体が修学旅行含む全額肩代わり、97自治体が学用品費、教材費の一部を就学援助・生活保護制度とは別に補助しています。都内では、就学援助費の対策も含みますが、町田市が入学準備金を増額、豊島区も入学準備金を小学校1人当たり23890円を40600円に、中学校は26860円を47400円に、文京区は返済不要の奨学金を増額しています。これは憲法の要請を自治体が率先して具体化していると言えます。
●そこでお聞きします。大田区は就学援助費受給者と生活保護受給者以外制度はないとのことですが大田区も憲法の要請を先取りする立場にぜひ立っていただきたいと思います。日本共産党大田区議団は、都内や全国からの助成状況をも検討し、さらなる金銭的支援が喫緊の課題と考えます。一挙にできなくとも教材無償化を段階的にも始めるべきです、そして一刻も早く無償化を実現すべきです。お答えください。

【教育総務部長】
教材費は、生活保護世帯には全額が生活保護制度により支給されており、就学援助事業においても、都区財政調整制度の積算単価をベースとして、所得に見合う額を支給しているところです。したがって、現時点では、区として独自財源をもって、教材費の負担軽減を拡大する予定はございません。

蒲田地域のまちづくりは区民の声を反映した計画にすることについて

【黒沼議員】
最後に、蒲田西特別出張所改築計画について質問します。この地域は住民が出張所管内で六郷地域に次いで2番目に多い、中心核となっている蒲田西地域です。その蒲田西特別出張所は都税事務所と一緒になり都区合同庁舎になる案が委員会で報告されました。出張所跡地は、長寿命化改修工事を行い蒲田西地区地域活動拠点として平成30年度にどの様に使うか決めたいと報告がありました。
地域の皆さんが心配していた老朽化の蒲田西特別出張所は1966年に建築され51年目になります。エレベーターがなく住民には不便でした。一刻も早く回収をと地域からも要望の出ていたものです。
またこの計画では、蒲田西特別出張所跡地と都税事務所仮事務所が建てられる予定の区民センター跡地の新蒲田1丁目西側が空き地になります。蒲田西特別出張所跡地は蒲田西地区地域活動拠点として、新蒲田1丁目西側は、都税事務所仮使用後に蒲田西地区の総合的まちづくり活用施設となり、平成33年、34年度取壊し後検討することになっています。
●お聞きします。二つの跡地計画では、保育園、区営住宅や特養ホームなど区民の要望が出ていますし、集会所施設がなかなか取れないとの声も多く出ています。
これから、住民の皆さんへの説明が始まりますが、広く住民に知らせるためにも、また、多くの声を計画に反映させるためにも、土日や夜間など住民が参加しやすい説明会をパブリックコメントのみならず徹底して行うよう求めます。お答えください

【企画経営部長】
蒲田西特別出張所の改築計画に関する住民説明会に関するご質問ですが、これまでも、公共施設の改築にあたりましては、周辺にお住いの方や施設を利用される方などを対象として、平日の夜間や土曜日・日曜日などを含め複数回の説明会を開催しております。蒲田西特別出張所改築にあたりましても、引き続き同様に取組んでまいりたいと考えてございます。

【黒沼議員】
総務省では、「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」(平成26年4月22日付総財務第74 号総務大臣通知)により公共施設等総合管理計画の策定を要請しています。
それに基づいてつくられたのが、大田区公共施設等マネジメントです。政府が全国的には「人口減少・少子化等により今後の公共施設等の利用需要が変化していくことが見込まれる」を理由に、財政負担を軽減・平準化するため公共施設の総量規制を行うものです。
大田区公共施設等マンジメントの公共施設適正配置方針では、今後45年間で公共施設は床面積で1割程度削減すること。また、「未利用地、跡地の有効活用や売却による新たな財源確保」が出されていますが、今後の人口予想でも、微増でありますが増えると予想していますので。それに見合った施設整備計画が求めています。
●お聞きします。まだまだ公共施設は足りません、公共施設適正配置方針による削減の計画を改め、区民の声にこたえた、公共施設の建設を進めるべきです。お答えください。

【企画経営部長】
公共施設の建設に関するご質問ですが、将来を見据えて安定的かつ計画的に公共施設を適正に配置し、区民の利便性向上に、より一層努め、良質なサービスを提供していくことは重要なことであると認識しております。現在、区が保有する公共施設のうち6割以上が整備後30年以上経過した施設となっており、今後20年のうちに多くの施設が更新時期を迎えることになります。公共施設適正配置方針は、こうした状況を踏まえ、今後の施設整備の方向性を示し、地域や行政の課題を解決していくための一つの方策として取りまとめたものであり、施設の適正配置の実現や、施設重視から機能重視への転換による施設の集約及び有効活用等を定めたものです。区は、この考え方を基に、地域の実情なども踏まえつつ、公共施設の適正配置を進め、将来を見据えた持続可能な公共施設の整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。

以  上

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