第2回定例会一般質問(速報)―清水議員(6月16日)



(映像は大田区議会ホームページより:20分)

【清水議員】
日本共産党の清水菊美です。質問通告に沿って質問します。

認可保育園待機児ゼロの大田区について

【清水議員】
まず初めに、認可保育園待機児ゼロの大田区へについて伺います。
2017年度の待機児童は572人と区は発表しました。昨年度の229人から大きく増加しています。その理由は、国が保護者からの実態と待機児童数がかけ離れていると批判を受けて、保護者が育休中、つまり認可保育園に入れないことによって育休を延長したり、育休をとらざるを得なかった場合は待機児童数に含めることになり、215人の育児休暇中の数を待機児童数に含めたためです。国の新定義を適用しない自治体もある中、大田区の適用は評価できます。
しかし、認可保育園入所申請数は5436人で、申請を不承諾にした人数は1845人です。認可保育園に入所できないのに待機児童数に含めない数は1273人でした。その内訳は、求職活動を休止195人、認可保育所等以外の場で保育660人、特定保育所等を希望226人、転園希望192人です。働かなくてはならないのに職探しをやめた人や、高い保育料の認証保育所等に入らざるを得なかった場合や、兄弟ばらばらの保育園に通って毎日毎日苦労しているが、同じ保育園に入れなかった場合などが待機児童として数えられていません。この方々の多くは、来年また認可保育園入所申請をすることでしょう。
区は今年度、11か所の認可保育園の増設、700人定員増の計画ですが、既に16か所の認可保育園の開設が予定されており、1100人の定員増を見込んでいます。東京都の待機児童対策の施策の拡充を受け、補正予算も組まれています。我が党は、待機児対策には認可保育園の増設をと一貫して提案してきましたので、評価しています。しかし、区の発表の平成30年度に待機児童数をゼロを実現するためには、待機児童数は不承諾者数の1845人であるとして、その数に見合った計画にすることです。
不承諾の通知を受け取った、あるお母さんは、「頭が真っ白になり、これからどうしようかと涙があふれた。認証保育所を探したが、今ごろと言われ、何十人も待っていると言われた。何とか認証保育所に決まるまで毎日泣いていた。母親の不安が子どもにも影響してしまった」と話してくれました。この方の場合は、父母とも常勤で、ポイントは22点、母方の祖父母は働いており、父方の祖母は病気療養中です。残酷としか言いようがありません。子どもの誕生を喜び、共働きで子育てを頑張ろうとする若い夫婦と、その家族を泣かせる区政であってはなりません。
●質問します。認可保育園入所を希望する全ての子どもたちが希望する保育園に入所できるよう、少なくとも2017年度の不承諾者数の1845人が待機児童であるとして待機児童対策を進めることです。お答えください。

【こども家庭部長】
初めに、整備数に関するご質問ですが、区は昨年度、717人の保育サービス定員の拡充を図りましたが、残念ながら、本年4月の待機児童数は572人と、昨年度に比べ343人の増加という結果になりました。今年度の待機児童数には国の見直しに基づき育児休業取得者を含めておりますが、今回の待機児童の結果を踏まえ、本定例会において補正予算として、当初予定していた整備計画を増員するための経費を上程させていただいております。なお、区の待機児童の考え方は国に準拠しており、次年度に向けての整備計画は、今回の補正がご承認いただければ、今年度の待機児童数572名に加え、来年度の申請数の伸びを10%程度、約550人と想定し、合計1100名程度の整備を図る予定でございます。

【清水議員】
いわゆる3歳の壁について質問します。平成29年度4月1日現在で3歳児の待機児童は58人となっています。物心がついた3歳の児童と保護者の不安は計り知れません。児童館の学童保育を小学校に移行した後の施設を3歳児以上の小規模の施設に活用することを区は発表しております。区も3歳児対策を始めてはいます。認証保育園も認可保育園に移り、3歳児以降の受け入れをする事業者も出ています。しかし、このままでは3歳児の待機児が増加するのは目に見えています。認可保育所の中に入る小規模保育所25施設459人は2歳児までです。入所希望が多い1歳、2歳で深刻だったために、小規模等を増やしてきたのは保護者の願いに応えたものであったのですが、1年、2年後には3歳児となり、待機児になるおそれがあります。
●質問します。区は3歳児以降の認可保育園入園希望の把握をし、対応を急がなければなりません。「3歳児の壁」などと言われる3歳児の待機児童もゼロにすることです。就学前まで安定した保育を受けることができる認可保育園の増設をすべきです。お答えください。

【こども家庭部長】
次に、「3歳児の壁」対応の観点で認可保育園の増設をとのご質問でありますが、区は、低年齢児の待機児童解消におきまして、機動的な事業展開が可能となる小規模保育所は極めて有効な施策であると考えております。一方で、小規模保育所等での卒園後のいわゆる「3歳児の壁」対策は喫緊の課題であります。区は、この課題に対して、これまでも認可保育園の整備に当たって、2歳児と3歳児のクラス定員に差を設けるほか、2歳児までの認証保育所につきましては、認可保育園への移行に向けた支援を積極的に進めております。このほか、千束こどもの家を改修し、3歳児からの保育施設として整備する予定でございます。なお、来年度の小規模保育所、認証保育所などで3歳児の受け入れ先が必要な数は約430名いますが、現時点では既存園や新規開設園の3歳児定員での受け入れを見込んでおります。引き続き、待機児童解消に向けては、このような「3歳児の壁」対策を講じながら、認可保育園をはじめ、小規模保育所などを組み合わせた整備により進めてまいります。

【清水議員】
次に、保育従事者の確保のために、公立保育園の増設について伺います。保育施設ができても、保育士、看護師、調理師などの保育従事者の確保が困難な事例が出ています。大田区立保育園の民間委託の際も、委託した事業者の保育士不足で4月開所が危ぶまれた例もありました。北区では、区直営の分園新設に伴い、新年度、区職員である正規保育士80人を募集したところ、500人以上が殺到したとのことです。公立保育園の保育士の募集には多くの申し込みがあります。それは、民間と公立の保育園では賃金、社会保障、労働条件等に大きな差があるからです。大田区でも平成28年度保育士21人採用していますが、105人の申し込みがあり、合格率3.95倍でした。区立保育園の民間委託を中止して、区職員として正規保育士の採用をすれば保育士の確保は十分可能です。認可保育園の増設は民間任せでなく、北区のように公立保育園の増設が求められています。
保護者は子どもが保育園に入れればそれでいいのではなく、保育の質が担保された安心・安全な認可保育園を切望しています。そのためには人材の確保が不可欠です。来年度から民間委託が決まっている保育園で保護者から不安の声が広がっています。「うちの保育園は交通の便も悪いし、通勤が大変だろうから、民営化になって保育士が確保できるかとても心配している」、「待機児童が多くて保育士の不足が言われているこの時代に、どうして区立保育園を民営化にするのか」、「前にいた認証保育所は、先生が子どもをどなったり、たたいたりしていた。区立に来るまで保育園というのはそういうものだと思っていた」、「区立に来て一番びっくりしたのは保育士がやめないこと。前にいた保育園は民営化になって1年間で保育士が次々やめて、最後は園長までやめてしまった。区立に来て本当にいい保育園と思っていたのに民営化になるのはとても不安」などなどです。公的保育の保障のために、施設整備の推進とともに、保育従事者が安定的に仕事を続けられる職場環境の確保、処遇改善が求められています。
●質問します。保育水準を保つためにも、自治体が責任を持って運営が続けられる公立保育園イコール区立直営の保育園の存在は大切です。区立保育園の民間委託計画は直ちにやめることです。お答えください。
また、東京都と国と連携して、認可保育園の増設計画に区立保育園の新設を含めることです。お答えください。

【こども家庭部長】
最後に、民営化計画と区立保育園の増設についてのご質問です。区立直営園につきましては、エリアネットワークの拠点園として特別出張所管内におおむね1園程度、計18園を残し、順次民営化していく方針に変更はございません。区立園につきましては、これまでも改築などの際に定員変更による増員を行っておりますが、待機児童解消に向けての取り組みには、引き続き地域力を含めた民間活力の活用を図ってまいります。
なお、保育の質を左右する保育士の確保、定着は大きな課題です。保育士不足の主な要因といたしましては、他の業種に比べて低い給与水準などの処遇上の問題や、子どもの命を預かる責任の重さなどが挙げられております。区は、処遇上の課題に対して、毎年見直される国や東京都による給与改善策に加え、今年度から保育士応援手当を支給いたします。また、継続実施している「宿舎借り上げ支援事業」につきましても、対象年限を撤廃するなど待遇面での充実を図っているところであります。担い手として期待されている地域の潜在保育士に対しましても、東京都における保育士就職支援研修・就職相談会や、区が私立保育園連合会と共催する就職フェアなどを通じて、保育現場への復帰に当たっての不安や疑問を解消する支援に努めております。このほか、区立保育園におきましては、民間保育施設に対する保育技術の相談や支援、交流保育や地域における保育会議などを開催するなど取り組みに努めております。引き続き、地域の拠点園として区内の保育水準の向上に向けた連携を推進してまいります。

区民の住環境を守るまちづくり条例(重層長屋など)について

【清水議員】
次に、区民の生活、暮らしを守る大田区まちづくり条例について質問をします。
地域力を生かした大田区まちづくり条例では、「良好な環境と活力あふれる経済活動が両立したまちを目指し、地域力を生かしたまちづくりを進めるために条例を制定する」として、第1条、目的では、「区民、事業者、大田区が、地域力を生かした魅力あるまちづくりを推進することを目的とする」とあります。しかし、第2条(25)に規定されている遺体保管所 葬儀を行う施設を持たず、業として遺体を保管(運送契約に基づく一時保管を含む。)施設が、大森南五丁目で自動車修理工場だった建物を改装し、冷蔵施設を備え、運送業として営業しています。敷地は狭く、区道際であるため、遺体の出し入れの際は通りがかった人からご遺体が見えてしまうような状況です。区道は中学生の通学路であり、サッカー、テニス場、アスレチックなどがあり、遠方からの来場者の多い森ケ崎公園の入り口前です。水辺の散策路として整備が進んだ森ケ崎海岸公園近くです。先日の祭礼では、300年以上続いている地域の氏神様のおみこしが、子どもみこし、中みこし、大みこし、にぎやかにこの施設の前を通り、大変複雑な思いがいたしました。条例では、「互いに連携し、協働して地域のまちづくりに取り組む」となっており、さらに第5条で事業者の責務、第6条で区の責務が定められています。
しかし、1年365日ご遺体と隣り合って暮らしている住民にとっては、条例があっても何の変化もなく、ただただ耐え忍んでいるような状況です。体調を崩している方もいます。周辺の空いたアパートに新たな入居はありません。近隣の工場の跡地も駐車場のままで、マンション等の建設を考えていた持ち主は困惑をしています。ご遺体保管には根拠法令がありません。営業の規制はできないとのことです。区と区長は、条例の目的に基づき、事業者に対し管理運営事項について指導をしていただいております。しかし、長年住み続け、子どもたちを育て、地域の発展に力を尽くしてきた住民に寄り添う根本的な解決につながるような代替施設などの何らかの手だての検討が必要です。このことを強く要望します。
重層長屋について伺います。今、道路や避難経路の安全性を考慮しない複数の大規模長屋計画が進められています。この2年で4件の条例違反があり、公表されています。現在、まちづくり条例に従わないため、業者を大田区のホームページで公表しています。中央五丁目の計画、延べ409.9平方メートルに28戸の計画で、単純に割りますと約14.63平方メートルとなります。大田区では、ワンルームの場合、25平方メートル以上として指導しています。この25平方メートルというのは、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準であると国が住宅生活基本計画の中で定めて推奨している数字です。国が定める基準では、いわゆる重層長屋は建設することはできないのです。さらに問題なのは、重層長屋は一戸建て扱いで、集合住宅に適用される2方向避難経路などが適用されないことです。
久が原地域での計画は、延べ368.43平方メートルの建物に27戸、1戸当たりは13.64平方メートル、間口が狭い、いわゆる旗ざお地に建設されており、火災や災害の際の避難や消火活動の妨げになり、近隣住民の不安は増大、駐車場、駐輪場、ごみ置き場が設定されていないため、公道に自転車が置かれる、ごみが散乱するなど、安全衛生や防火・防犯上の懸念が出ています。さらに問題なのは、業者は近隣住民にちゃんと説明をしないのです。書面をポストに投函するのみ、住民の懸念や不安に対する疑問に答える姿勢がありません。このような事態を解決するには行政の指導強化が必要です。今年の第1回定例会の陳情で継続審議となっていますが、担当課長は「罰則の適用ができるよう、条例改正に取り組んでいる」と答弁しています。
●質問します。良好な住環境の整備を図るため、早急にまちづくり条例に重層長屋について罰則導入をすることを求めます。お答えください。
現在、東京都建築安全条例には長屋に対する戸数制限などの制限がありません。東京都に対し、東京都建築安全条例の見直しを大田区が強く求めることを求めます。お答えください。

【まちづくり推進部長】
まず、地域力を生かした大田区まちづくり条例の整備基準を守らず、事業者名等の公表まで至った物件4件のうち3件が同一の事業者であり、また、そのうち2件が路地状敷地における長屋でございます。昨年の決算特別委員会でも条例を強化すべきとのご意見をいただきましたが、区は、このような状況を踏まえ、より効果的な指導ができるよう、現在、条例への罰則規定の導入に向け鋭意取り組んでおります。一方、23特別区は、東京都の依頼に基づき、現在、特別区建築主管部長会において、路地状敷地における長屋に関する現状課題、東京都建築安全条例の規制内容について検討を始めております。区は、この検討を踏まえながら、東京都へ建築安全条例の早期の見直しを働きかけてまいります。

以  上

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