第2回定例会一般質問(速報)―大竹議員



(映像は大田区議会ホームページより:25分)

【大竹議員】
質問通告に従い順次質問します。

多額の税金投入の新空港線「蒲蒲線」は廃止・撤回について

【大竹議員】
先ず、新空港線「蒲蒲線」について質問します。
4月7日国土交通省の交通政策審議会の東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会は、「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(案)」(以下、答申案)を発表し、「概ね15年後(2030年(平成42年)頃)を念頭に置いて、(中略)本答申をまとめた」としています。 答申案は、その後4月20日の小委員会で、答申となりました。
この答申案にこども家庭部長は早速、「『矢口渡から京急蒲田までの事業計画の検討は進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき』という高い評価をいただきました」とコメントを発表しました。
しかし、この答申案はこども家庭部長がコメントしているように、新空港線「蒲蒲線」について「高い評価」と言えるのでしょうか。
党区議団は4月14日、答申案に対する見解を発表しました。
答申案では、(1)国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト8路線と、(2)地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト16路線の合計24路線の検討結果が挙げられています。
これは、東京都が昨年7月に「今回の答申に向けた検討のまとめ≫」(以下、「東京都の検討のまとめ」)にある「整備について優先的に検討すべき路線」5路線と「整備について検討すべき路線」14路線の19路線全てについて検討を行っただけのものです。
これらのことは、都政新報(4月12日号)でも「今回の答申案では、都や地元区市が要望していた路線は全て取り上げられており、小委員会としては意義や課題を羅列するにとどまった。」と指摘されています。
また、答申案では、「整備・営業主体が確立していないプロジェクトについては、十分な検討を行うことが必要」と述べています。
2000年に運輸政策審議会答申第18号でA2路線として位置づけられて16年になるにも関わらず、依然整備・営業主体が確立していない路線であり、その理由から「整備について優先的に検討すべき路線」からも外された「東京都の検討のまとめ」と、何ら変わるものではなく高い評価と言えるものではありません。さらに軌道が異なる路線間の接続方法等の課題も解決されていません。
●こども家庭部長の「新空港線(蒲蒲線)が高い評価」のコメントは、区民に誤解を与えるものであり、撤回を求めます。お答えください。
また、こんな見通しのない路線に多額の税金投入計画は、廃止・撤回こそ求めます。お答えください。

【まちづくり推進部長】
新空港線「蒲蒲線」のコメントについてのご質問ですが、答申では、「矢口渡から京急蒲田までの事業計画の検討は進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき」との評価を受けております。この「すべき」という表記で評価された路線は、全24プロジェクトの中で都内では6路線だけであり、他の路線は、いずれも何々を期待との表記で明らかに評価が異なっております。このように今回の国の答申は、今後の事業推進にあたって大変重要な意義をもっていると考えております。この答申を受け、今後は、区民のご協力をいただきながら、早期に関係者との合意形成を進めていくことが重要であると考えておりコメントの撤回は考えておりません。
新空港線「蒲蒲線」について、計画の廃止・撤回を、とのご意見をいただきましたが、新空港線「蒲蒲線」の整備は、区内の東西移動の利便性の向上、災害時や緊急時の迂回ルートとしての役割、まちの活性化と経済発展、そして広域交通ネットワークの形成など多方面に寄与する有意義な事業でございます。先ほども申し上げましたが、新空港線は、国の答申において高い評価もうけております。以上のことから、新空港線整備の早期着手に向けて、今後取り組みを強化してまいります。

子育て安心の大田区へ抜本的な対策について

【大竹議員】
次に、子育て安心の大田区へ抜本的な対策についてです。
保育問題が、国政の重大問題となっています。希望しても認可保育所に入れない子どもが続出しながら、安倍首相が冷たい姿勢を取ったことに対して、「保育園に落ちたの私だ」という運動が日本中に広がりました。
問題の根本には、ひとつは、「認可保育所が決定的に足りない」こと、もうひとつは「保育士の労働条件が劣悪なため、保育士が不足している」ことです。
日本共産党は、改めて今日の事態を解決するために緊急の提言を行いました。その基本的な立場は、「認可保育所の増設」と「保育士の賃上げなど労働条件の改善」という抜本的な対策を緊急に行う提起です。そして30万人分(3000カ所)の認可保育園を緊急に増設する提案です。
第一に、待機児問題は、認可保育所の増設で解決するという原則を確立することについてです。当面の緊急対策でも、保育士配置など「保育の質」を確保することを明確にすることです。
安倍政権の緊急対策は、「質の低下は仕方がない」というものですが、しかし、子どもの発達・成長の権利を保障すること、保護者が安心して預けられるというのはギリギリの要求であり、当然の願いです。この願いに向き合うことなしに問題は解決しません。
厚生労働省が3月28日、待機児童解消に向けて緊急に対応する施策で、保育所等への臨時的な受入れ強化の推進として、「人員配置基準、面積基準において、国の最低基準を上回る基準を設定している市区町村に対して、一人でも多くの児童の受け入れを要請」しました。
これに対して、東京新聞(4月19日付)の調査では、23区の大半は国の基準を上回る独自基準を下げずにすすめて行くと応えています。
しかし、大田区が、保育士1人当たりの担当数(1歳児6人)について、独自基準あり21区に入っているものの、面積については、国基準ですでに対応する8区に入っています。
大田区が、待機児童解消に向けた緊急対策会議(4月18日)の各市区町村における取組状況で、「今回、規制の弾力化として、人員配置や面積基準を上回る部分を活用した臨時的な受入れ強化が提案されているが、保育現場を担う保育士の負担を大きくすることとなり、子ども子育て支援新制度に掲げている「質の改善」と「量の拡大」にも反し、臨時的な対応としても問題であると考える。」と要望しています。
●この区の要望のとおり、国の規制緩和の要請に従わず、面積について独自基準に戻すよう求めます。お答えください。

【こども家庭部長】
待機児解消にむけた国の規制緩和の要請に対するご質問ですが、区では、認可保育所の面積基準については、従来から国の基準に基づき、また、職員配置については、一部、国基準に上乗せした職員配署を行い、乳幼児に対する保育の安全を確保しているところです。今後も「子どもの安全」と「保育の質」の重要性を踏まえた保育所運営に努めてまいります。

【大竹議員】
大田区の保育所の入所状況は、5月9日のこども文教委員会で、今年4月1日現在の待機児童数が229人と報告がありました。一昨年613人が、昨年154人と待機児童を激減させ「全国の自治体で一番減らした」と区長が高く評価していましたが、前年から75人も増えました。
この間、認可保育所も増設されましたが、もっとも多く増やしたのは、認証保育所、小規模保育室や、グループ保育室等の増加でした。結果、待機児童にはならないが、次の年にはまた認可保育所に入所申し込みをすることになっています。
党区議団の調査では、認可保育所第2次申し込みで不承諾となった児童は1884人でした。不承諾となった児童は5月1日現在で、区の職員の紹介により認証保育所、保育ママ、定期利用、小規模保育室等で保育を受けられた児童は660人でした。
最終的に発表された待機児童が229人でしたから、計算すると残りは995人となります。これらの児童と保護者は今どうしているのでしょうか。
●育休を延長した人、仕事復帰をあきらめた人、認可外保育所に預けた人等でしょうか。今後の待機児童対策のためにも残り995人について調査を行うべきです。お答えください。
区の発表する待機児童数は、真の待機児童数ではありません。「認可保育園に入れなかった人数」が真の待機児童数になります。
認可保育所第2次申し込みで不承諾となった児童1884人を待機児童として認可保育所の増設を求めます。お答えください。

【こども家庭部長】
認可保育所へ入所できなかった方に対する調査と認可保育園の増設についてのご質問ですが、区は、これまでも、待機児解消を図るため、認可保育所に加え、小模保育所や認証保育所などの保育所整備に努めてまいりました。
28年度は、認可保育所7施設をはじめ、多様な保育サービス基盤の整備により、合計500人の定員拡充を図る予定です。なお、この整備計画については、現在今年度の待機児童をはじめ、育児休業を延長された方、特定の保育園のみ希望している方などの状況確認に加え、新たに妊娠届を出された方の地域分布などを分析し検証しているところです。また、申請者への確認の際に、利用可能な保育園の空き情報を提供するなど、保育を希望する保護者への支援に努めております。
引き続き、保育ニーズに対応した保育サービ一ス基盤を拡充し、待機児童解消に取り組んでまいります。

【大竹議員】
●また、小規模保育室だけでなく認証保育所も2歳までが多く、3歳の転園に不安の声が広がっています。3歳児以降の不安対策にも応える、増設を行うべきです。お答えください。

【こども家庭部長】
3歳児以降の保育所の増設についてのご質問ですが、28年度の待機児229人のうち、3歳児は24人となっております。小規模保育所などから3歳児の受け入れ先につきましては、近隣保育施設の状況を踏まえ、認可保育所の新設などにより、施設間の連携を図っているところです。今後も保護者が安心して利用できる保育サービス基盤の整備に努め、「仕事と子育ての両立支援」を進めてまいります。

【大竹議員】
党区議団は、大田区保育園情報コミュ二ティ有志一同のみなさんと懇談しました。
父母の皆さんから、「認可、保育ママ、定期利用保育、それぞれ申込方法と時期が違い、把握するのも申し込みのために何度も足を運ぶのも大変だった」「認可と同じように認証保育園も一括で取りまとめて募集する仕組みがあれば、余計なお金の入金や、同じような内容の入園申込書を何枚も記入して園に持参する手間が省ける」等、保育サービスを一元化し、申し込みも発表も一元化すべきとの要望が出されています。
●これらの要望に応え保活の支援のために、認可・認可外保育所の管理の一元化を求めます。お答えください。

【こども家庭部長】
認可・認可外保育所の管理の一元化についてのご質問です。認可保育所と小規模保育所については、区において申請受付や選考審査などの手続きを実施しております。一方、認証保育所などの認可外保育所は、各施設と利用者との直接契約となっています。施設によっては、先着順による利用など、選考方法が異なるため、区において管理を一元化することは困難であると考えております。なお、区では、利用者の利性向上を図るため、窓口や電話相談において、認証保育所や定期利用などの利用に関する様々な情報提供を行っております。区のホームページでは、認証保育所などのサービスの特色や欠員情報を随時更新するなど、情報の一元化を進め、利用者支援に努めているところです。

【大竹議員】
第二に、保育士の賃上げと配置基準の引き上げという、2つの方向で待遇改善のために国の基準を引き上げることについてです。
保育士の低賃金は、国の基準が低すぎることによってもたらされています。全産業よりも月約10万円も賃金が低い事態をつくりだし、保育所不足の最大の原因になっています。国の基準を直ちに見直すべきで、野党共同で緊急に5万円引き上げる法案を提出していすが、この成立をはかっていきます。
また、公立保育所でも非正規雇用が増えて、東京都では45%が非正規雇用という調査もあります。さらに、経費削減とサービス向上を目的に民間委託をすすめていますが、経費削減の大きな部分を人件費が占めており、委託先職員に低賃金が押し付けられおり、低賃金・不安定雇用に拍車をかけているのが民間委託です。
●保育士の労働条件の改善、保育の質の確保のためにも、非正規職員の正規化をすすめる為にも、低賃金、不安定雇用をつくりだす民間委託をやめるべきです。お答えください。

【こども家庭部長】
非正規職員の正規化を進め、民間委託をやめるべきとのご質問ですが、区立保育園では、早朝の預かり保育や延長保育などのきめ細かな保育を実施しております。このような保護者の働き方に応じた保育サービスを提供するため、非常勤保育士を含めた職員体制を組んでいるところです。なお、非常勤保育士の報酬については、近隣区の状況を勘案し、適正に設定しているところです。引き続き、非常勤職員の役割に応じた処遇のあり方について、国の動向や近隣自治体の状況を注視し、適切に対応してまいります。また、保育園の民営化は、事業者による創意工夫やノウハウを活かした柔軟な保育が期待でき、多様な保育ニーズに応える有効な手段とし、今後も、適正に進めてまいります。

【大竹議員】
次に、児童相談所の設置についてです。
「政令で定める特別区は、児童相談所を設置するものとする。」児童福祉法の改正が、去る3月29日閣議決定、5月19日衆議院、5月27日参議院で可決成立しました。
国の措置として「施行後5年を目途として、中核市、特別区が児童相談所を設置できるよう、その設置に係る支援等の必要な措置を講じる」。施行は来年4月1日です。
区長会が長年にわたって求めてきた悲願の実現に、大きく前進することになりました。法改正を受けて、区長会が発表した会長名の談話では、「準備の整った区から順次、設置を目指す」と踏み込んだ表現となりました。
区長会は16日に開いた総会で、先ず各区がそれぞれ設置に向けたロードマップを検討することを確認したと報道されています。
この間、虐待に関する情報があれば、子ども家庭支援センターが相談を受けて、子どもの安否確認や在宅支援を行い、保護が必要なケースは権限のある児相に引き継ぐ仕組みになっていますが、迅速な対応が取れなく、虐待から子どもたちを守れない痛ましい事件が続いているなかで、大田区にも一日も早い設置が望まれています。
●設置に向け、準備を進めていくと共に、円滑な移管のために都との調整が不可欠、人的、財政的対応の整理が必要であり、具体化には、さまざまな調整が必要なため、早急に体制の整備を行うべきです。お答えください。

【こども家庭部長】
児童相談所の移管についてのご質問ですが、区は、これまでも児童相談所の区への移管に向けた検討を進めるとともに、法改正を含めた国の動向を注視してまいりました。このような中、先月5月27日の児童福祉法の改正を受け、速やかに、「移菅に向けた準備を進める」との区の方針を決定したところです。
今後、全庁的な検討会を立ち上げ、人材の確保をはじめ、施設整備や財源確保など、様々な課題を検討してまいります。繰り返される虐待による悲惨な事件や事故から子どもたちを守るために、71万人区民を有する基礎自治体として、児童相談所の設置に向け、積極的に取り組んでまいります。

【大竹議員】
最後に、公明党田村議員の先ほどの指摘に応えておきます。日本共産党が、住民の要求を予算へ反映させるために努力する一方、予算の基本的性格が住民の利益に反するものであれば、反対するのは当然です。また、住民要求をとりあげ、住民と力をあわせて予算に反映させたものを実績と呼ぶのも当然です。“予算に反対しているから実績がない”かのような言い分が通用するなら、結党から30年あまりものあいだ「野党」として振る舞い、予算にも反対してきた公明党の“実績”はいったいどうなるんでしょうか。
また、予算編成替え動議についてですが、この動議は、区長が、提出した一般会計予算を撤回して、動議提出の事項について編成替えを行い、再提出することを要望したものであります。
認可保育所20か所の建設の60億円の予算の根拠は、この間の実績に基づくものであり、予算編成権が区長にあるわけですから、動議成立の場合、区長が精査して再提出するものです。
以上で質問を終わります。

以  上

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