第2回定例会代表質問(速報)―金子議員


代表質問映像(大田区議会ホームページ)

【金子議員】
私は、日本共産党区議団を代表して、暮らしと憲法守る区政に、区民の願いに応えるおおた未来プラン10年の後期策定を、抜本的な中小商工業対策・円安対策を、について質問します。

暮らしと憲法を守る区政に

【金子議員】
はじめに、憲法改定について、お聞きします。1月30日の国会で、安倍首相は、「(改憲は)96条から始める」と答弁しました。このことは、国民の間に深刻な不安を呼び起こしています。「国防軍」創設の主張が、「ふたたび日本を戦争する国にするのか」。「権力を縛る現憲法を国民を縛るものに変えるのか」という意見も出ています。
近代の立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために、憲法によって、国家権力を縛るという考え方に立っています。そのために憲法改定の要件も、時の権力者の都合のよいように憲法を改変する事が難しくなっています。そのことは、世界の主要国ではあたりまえの原則で、国会による憲法改定の発議要件を3分の2以上から過半数にすることは、立憲主義そのものの否定であり、憲法が憲法でなくなる大改悪にほかなりません。
日本共産党は、96条改定反対の一点で、国民的共同を広げ、改憲派の野望を打ち砕くために、力を合わせることを呼びかけています。憲法や政治などの有力研究者が、5月23日に自民党、日本維新の会、みんなの党などが主張する96条改憲への反対を呼びかける「96条の会」を立ち上げました。憲法改正権を使って、改正要件を変えることは、法論理的に問題があるとして、かねて憲法は変えた方がいいと主張している慶応大学の小林教授が「憲法に拘束される権力者が『国民を利用して憲法を取り上げよう』とするものであり、この国の民主主義はかなり危ない曲がり角にある」と批判しました。また、元自民党幹事長古賀前議員も、96条改定に反対しています。
●96条改定は、ゆくゆく9条改定を狙う企てです。松原区長は、「平和憲法を擁護し、核兵器のない平和都市」宣言をした大田区長として、反対すべきです。お答えください。

【松原区長】
憲法96条の改定についてご質問をいただきました。現在、憲法改正につきましては、国会において様々な議論が行われていることは議員ご承知のとおりだと思います。平和憲法を守り、核兵器のない平和な都市を築くことは、次の世代に向けた、我々の重要な使命であると考えております。大田区におきましてはこうした思いから、昭和59年の8月15日に、平和都市宣言を行いました。一方、現行憲法の制定から60年以上が経過し様々な問題点が指摘されていることも事実でございます。96条のみではなくて、憲法全体にわたって国民的議論が行われるべきであると考えております。まずは、国民の代表機関であります国会において十分な議論が行われることが肝要であると思います。そして、その動向を注視してまいりたいという風に思っております。

【金子議員】
また、橋下大阪市長・維新の会の共同代表は、慰安婦容認発言について、売春と同列に扱い、戦争遂行にやむを得なかったものとしていますが、慰安婦の問題は、国連人権委員会差別防止と少数者保護小委員会の第51会期で、現代的形態の奴隷制として、武力紛争下の計画的レイプ、奴隷制、奴隷に近い状況として、報告され、付属文書として、『第2次大戦中に設けられた「慰安所」に関する日本政府の法的責任の分析』がつけられていて、国際的には「慰安婦ではなく、性奴隷であった」と認定されています。『日本政府は、第2次大戦中のレイプセンターの設立と監督について日本軍が直接関与したことはないと、否認していたが、1993年8月4日付で発表した「慰安婦関係調査」と同日の内閣官房長官談話で、政府自身が慰安所の設立に深く関与したことを最終的に認めた』と記録されています。
多くの女性や団体から、公人としての資格がないと、市長や政党の代表はやめるべきだという非難が多く寄せられています。日本政府のおこなった『レイプセンター』政策は、女性の人権だけでなく男性の人権も踏みにじるものであり、人類に対する犯罪行為だったと断定されているのです。
●日本共産党は、公人としてあるまじき発言であり、自治体の長を辞職すべきと考えます。松原区長はどう考えますか。お聞きします。

【松原区長】
次に、大阪市長の慰安婦問題発言についてのご質問をいただきました。今回の発言内容につきましては、報道等で聞き及んでおりますが、報道を通しての印象といたしましては、私の認識しております、女性を始めといたします、人権意識と少し異なると考えております。区は、これまでも、お互いの人権を尊重しあい、一人ひとりの個性を認めあえる男女共同参画社会の実現に向けまして、ひとつはワーク・ライフ・バランスのとれた社会づくり、いまひとつは社会や地域活動への参画の支援体制づくり、そして3つ目には男女共同参画社会への意識づくり、4つ目には男女の人権が尊重される社会づくりを基本目標に掲げ取り組んでいるところでございます。今後も、区の男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを着実に進めてまいりたいという風に考えております。

【金子議員】
次に暮らしの問題についてです。東日本大震災・福島原発事故から、2年3カ月が経過しました。被災地支援と被災者支援は進まず、15万人が避難生活を強いられています。被災直後よりいっそう深刻な事態も出てきています。
安倍内閣は、消費税増税や、憲法改悪、TPP参加、原発再稼働・原発輸出など一気に悪政を進めようとしています。「社会保障と税の一体改革」は、生活保護・医療・介護・年金・保育などの改悪、消費税10%増税と法人税減税を一体に進めるものです。「基本的な考え方」では、生活保護の「自助・共助」と、医療・介護給付の「重点化・効率化」が強調されています。増税と負担増が区民生活に及ぼす影響は、計りしれません。
そのうえ、安倍内閣は、アベノミクスと称する経済政策を、最大の売り物にしていますが、国民の80%が、アベノミクスでよくなった実感はなく、この政策で恩恵を受けているのは、一握りの大資産家、国内外の投資家です。この経済政策は、国民の暮らしと経済を破壊するもので、「投機とバブル」を煽る異常な金融緩和、不要不急の大型開発へのバラマキ、成長戦略による雇用ルールの弱体化が加わり、国民の所得、働く人の賃金を増やす政策は一つもありません。あるのは、所得と賃金を奪うものばかりです。この1つひとつは、新しい中身は何1つない、古い自民党政治そのものです。こうした政治を続けてきたことが、日本経済の長期不況と、停滞・衰退をもたらしたのです。その反省もなしに、深刻な行き詰まりを、政府自ら「投機とバブル」を煽りたてるという禁じ手で、乗り切ろうというのです。経済政策にとどまらず、憲法問題、原発、TPPなど外交でも暴走と破たんの道を突き進んでいます。公明、民主、維新の会やみんなの党は自民党の補完勢力になっていて、この安倍内閣の暴走を止めることができません。安倍内閣に正面から対決して、国民とともにたたかっているのは、日本共産党だけ、という状況です。
日本共産党は、この実体経済の立て直しには、日本経済の6割を占める家計をあたため、事業所の99%を占める中小企業を元気にすることとして、さまざまな提案をしてきました。大田区には、国の悪政から区民を守る防波堤になること、区民生活の底上げを本気で取り組むことを求めます。
まず、第1に国民健康保険料の値上げをしないことです。
給与収入300万円の3人世帯では、軽減措置も縮小されて2010年度年間160,076円から2013年度は257,124円と、97,048円も値上げされています。2月にも、共産党区議団は、値上げしないよう区長に要請しました。国民健康保険料の値上げ中止を求める署名には、多くのみなさんが応えています。前年度と比べても1.3倍、3年前とは1.7倍と、大幅値上げに悲鳴の声が上がっているのです。今でも大変で、収納率も下がっている状況なのに、この値上げはすべきではありませんでした。本日12日に納付書が発送されます。
日本共産党区議団は、11日に松原区長に対して、国民健康保険についての申し入れを行いました。1、国保料値上げを今からでも中止すること。
2、保険料を抑えるために、国民健康保険への国庫負担割合を増やすことを国に求めるとともに、東京都にも財政支援を求めること。大田区も支援を強化すること
3、区民の問い合わせには、電話が結局つながらなかったということにないように、体制も取って対応するよう、求めます。
●この3点についてお答えください。

【松原区長】
次に、国民健康保険料についてご質問をいただきました。平成25年度の国保料につきましては、23区独自で、住民税非課税の方を対象にしまして、所得から50%を控除する軽減策を実施しております。26年度も同じく25%を控除する軽減策を実施する予定でございます。また、均等割額につきましても、低所得の方への影響を緩和する措置を講じております。国保財政は、加入者の高齢化や医療の高度化の進展によりまして、医療費が年々増加しております。厳しい財政運営を強いられておりまして、一般会計から多額の繰り入れを行ってきているところでございます。国に対しましては、財政支援の強化策を引き続き求めていきますと共に、来年度の保険料の算定につきましては、被保険者の急激な負担増とならないように、充分に検討を重ねてまいりたいという風に思っております。

【金子議員】
●つぎに、認可保育園を増設することです。今年の待機児童数は、やむなく認証保育所に入ったお子さんや保育ママさんで保育されていて、認可保育園を希望しているお子さんを旧定義で数えると、957人であり、過去最高となりました。保育園に入れなかったのであればと、解雇された母親もあり、保育園に入れなかったお孫さんを飲食店の祖母が、預かったところ、そのお孫さんが「こちらに来ないで」という場所に来て、熱いものを触り、やけどをしたということで、それぞれ深刻です。入れなかった子どもの対策を早急に立てることを求めます。6月7日の新聞報道によれば、『保育所用に国有地』という見出しで、財務省が、公務員宿舎跡「400か所提供可能」ということで、大田区にもあるということです。「土地購入の必要がなく借地権利金が不要となる定期借地権を使った方式で利用してもらい、自治体などの初期負担を軽減する」ということです。2月14日に、区議団、かち佳代子都議で要請行動したときには、「復興予算にあてるので、売却する」ということでしたが、父母の皆さんの運動も、財務省の態度を変えさせたのではないでしょうか。願ってもないチャンスです。ぜひ手をあげて、認可保育園増設にとりかかっていただきたいと思います。お答えください。

【松原区長】
待機児の状況を区は把握しているのか、というご質問でございますが、保育園の入所申し込みの際に、入所不承諾となった場合のお子さんの保育状況につきましても確認をしているところでございます。次に、待機児対策を早急に立てるべきとのご質問についてでございますが、待機児解消対策を進めるに当たりましては、スピード感を持った取り組みが重要と認識しております。今年度は5月に古川グループ保育室を開設します。また、9月から10月にかけましては保育施設3か所の開設を予定しているところでございます。更に、平成26年1月には、新たに大森西グループ保育室の整備につきましても計画しておりまして、早急な保育サービス定員の拡充に努めているところでございます。
国有地を活用した認可保育所の増設についてのご質問をいただきました。区といたしましては、待機児解消対策の取り組み方針といたしまして、待機児の多い地域を重点地域に定めまして、集中的に保育施設の整備を進めているところでございます。また、保育施設の整備に当たりましては、多様な主体と連携・協働しながら、テナント型保育所などの手法も駆使しながら、スピード感を持って取り組んでいるところでございます。国有地を活用した保育所の整備につきましては、現時点では、国から詳細な情報を持っておりません。したがいまして、具体的な情報が明らかになった時点で、地域の保育ニーズなど待機児解消対策としての有効性を見極めた上で、判断してまいりたいという風に思っております。

【金子議員】
●今、増設をしようとすれば、今後交付予定の3億8千万円の元気臨時交付金相当分の一般財源が使えるのではないでしょうか。安心こども基金も活用して、認可保育園を増設すべきです。お答えください。区の負担は3200万円で1か所保育園が作れます。今、最も大変な時期の、一番の子育て支援になるものです。いかがですか。

【松原区長】
次の、交付金などを活用して、認可保育園を増設すべき、とのご質問についてでございますが、待機児解消を効果的に進めていくためには、待機児の多い地域を重点地域に指定いたしまして、認可保育所のみならず、認証保育所、定期利用保育事業など、総合的な事業展開を図っていく必要があると考えております。保育施設の整備に当たりましては、安心こども基金をはじめといたします、国や都の補助制度を有効に活用して、保育サービス基盤を拡充してまいりたいという風に考えております。

【金子議員】
●文部科学省からも、金額はまだ確定していないものの約3億円の元気臨時交付金が出るということです。13年度の予定工事に充てられるということで、老朽化した学校の改修や、トイレ、空調の改修などに使えるということです。待ったなしの修理などはこの機会に行うべきです。使わずに済んだ予算は、学校の設備更新などにも使えることになります。学校の改修は、財政難を理由に、いままで先送りされてきました。区としては、改修予算を増額して、当面の緊急改修と同時に、長期的な改修計画を、学校関係者と共に立てて、計画的にメンテナンスを行うようにすべきです。お答えください。

【清水教育長】
私からは、学校の計画的な改修についてのご質問にお答えします。良好な教育環境を維持していくには、たとえ厳しい財政環境の中にあっても学校の改修等については、計画的に進めていくことが重要であると考えております。現在、教育委員会は、学校施設について、この考え方に沿って老朽化した校舎の改築を順次進めると共に、大規模、中規模改修も計画的に実施しております。また堅急を要するものは適宜対応しており、個別の修繕についても優先順位を精査し効率的に整備を進めております。なお、改修等に当たっては、国や都の交付金・負担金の対象となるものについては、引き続き財源確保に努め、活用してまいります。

【金子議員】
●地震対策として、だれでも耐震住宅に住めるように、必要な支援をすべきです。最近の世論調査では、避難所の整備や備蓄の要望もありますが、地震に耐えられる住宅が必要だ、と変わってきています。増額もして個人住宅の耐震補強工事をこの機会に枠を広げ、支援金も増額して思い切った対策を講ずるべきです。お聞きします。

【松原区長】
次には、耐震改修工事助成金を増額して、個人住宅の耐震補強を進めていくべきとのご質問でございますが、区は、平成18年度から耐震化助成制度を設けております。耐震化にそういうことで取り組んできたところでございますが、講習会・セミナーなどを行うなど周知に努め、また東日本大震災の影響もあり、助成件数も年々拡大をしております。これまで適切に対応してきていると考えております。耐震化助成は、地震災害から区民の方の生命・財産を守る一方で、結果的に個人資産の向上にもつながる制度でございます。こうした点を勘案すると共に、他の自治体の制度と比較いたしまして、現在の本区の工事助成の内容・水準は、妥当なものと考えております。今後もこれまでと同様、住宅の耐震化に適切に取り組んでまいりたいと考えております。

【金子議員】
次に、アスベスト健診について質問します。大田区内にかつて、100か所を超えるアスベスト関連工場があったことは、もう昔語りになりそうな状況です。しかし、アスベストの飛散による環境ばく露の健康への影響は、30年たって発症することがあり、大田区にとっては忘れてはならない課題です。業種によっては、石綿を熱して工場外に排気しながら拡散させたこともあったようです。また、病院で働く看護師が手術などで使用する手袋を乾燥させるタルクにアスベストが入っており、中皮腫になって死後労災認定されたケースが報道されていました。
これは、諸外国で使用禁止になった後も、日本政府はアスベストが入っていても安全だからと使うことを奨励し続け、全面的に使用禁止になったのは、2006年です。1970年から1990年代まで毎年30万トンの石綿が輸入され、建築物に多く使用されてきました。建物以外にも使われてきたことが、被害を多くしています。
大田区におけるアスベスト健康調査が行われたのは、平成19年(2007年)11月に、東京労災病院から大田区に対して、アスベストの環境ばく露によると疑われる複数の症例を認めたとの報告があったことが発端でした。所見のあった人の住所の近くに、昭和63年(1988年)までアスベスト関連の工場があったということで、
①大森東4丁目、5丁目、大森南1丁目から5丁目に居住している者のうち、昭和63年以前にも居住歴のあるもの
②この地域でアスベストばく露の可能性のあった者
を対象に健康調査が行われました。
2008年(平成20年)2月から3月まで916人の方が受診し、862人の方が調査対象になり、そのうちの43人に胸膜プラークが認められています。労働環境と関連しない607人を中心に検討を行った結果、胸膜プラークが認められた人は9人であり、これは重要な事実であると、書かれています。
同じころに、ばく露歴を確認できない人の健診を、尼崎や、鳥栖、大阪府泉南地域でも行いましたが、それぞれ50人以下であり、それに比べると、大田区の調査は大規模でした。検査が無料で行われたことも、区民の健康に資する役割を果たしたと思います。
しかし、次の年から、1000円徴収することになり、受診者が減ってしまいました。21年度は91人、健康調査を受けた人79人、22年度は52人、健康調査を受けた人44人です。23年度の受診者40人、健康調査を受けた人35人ですが、所見あり20人、要精密検査2人、アスベスト以外の所見の人2人、と人数の割に所見のある人が増えているのは、心配なことです。アスベスト健診の状況は2007年の時からみて、こんなに少なくては区民にとって、せっかくの健診が役に立たないことになります。
●健診の規模を拡大することをもとめます。区議団の無料で実施するよう求めた予算要望に、区は「ご自身の健康管理の一助として、負担の公平性から自己負担金をお願いしている」と答えていますが、区内には100か所以上のアスベスト関連工場があった事実から出発し、「区民のいのちと健康を守る」自治体の役割として、希望する大田区民が受けられるよう、実効性があるように見直すことです。規模を拡大するには、検査が無料で受けられることです。特にアスベスト関連企業に関係のない環境ばく露の可能性がある人に、周知されることが大事なことです。その際、胸部2方向のレントゲン撮影だけでなく、CTも検査に含めることです。お答えください。

【松原区長】
次に、アスベストフォローアップ検診の規模拡大についてご質問をいただきました。アスベストフォローアップ検診は、平成19年度に行った大田区アスベスト健康調査の対象となった方全員に対しまして、21年度から実施している検診でございます。区外転居者も含めまして、毎年全員に個別通知をしますと共に、区報およびホームページでも、お知らせしております。一方、新たに職歴等から、検診を希望される方々も、毎年数人は含まれております。問診及び検査結果から、胸膜プラーク所見有りと診断されている方もいるところでございます。検診費用は、負担の公平性から、原則自己負担金1,000円をお願いしておりますが、前年までの検診で胸膜プラークの所見が認められた方に関しましては、自己負担免除としているところでございます。5年が経過する中で、アスベストフォローアップ検診のあり方そのものを見直すことを、研究してまいりたいという風に思っております。

区民の願いに応えるおおた未来プラン10年の後期策定を

【金子議員】
次に、「おおた未来プラン10年」についてお聞きします。「おおた未来プラン10年」は、2009年度(平成21年度)から始まり、2013年度でちょうど5年の中間のまとめの時期になります。
この5年間に、長い不況が続いて、区民の所得が減り、非正規の人が若い人の2人に一人と雇用も悪化し、年金も切り下げられてきました。中小企業の衰退、商店街の衰退は目を覆うばかり、認可保育園を希望する人が増えてきたのに、1次審査で「不承諾」通知が1305人、5月現在、いわゆる旧定義の待機児童数は957人となりました。保育園に入れなかったお子さんの保護者から、大田区の責任を問う異議申し立てがされる事態になりました。これは、未来プランの狙いが、実態に合わなかったということではないでしょうか。また、介護保険施設等の入所定員数は30年度でも未来プラン作成時3000人から、300人しか増えていません。
基本目標2まちの魅力と産業が世界に向けて輝く都市(まち)で、おおた未来プラン10年の修正版によれば、指標はほとんど当初の計画より、目標値をあげています。下がっているのは、自転車駐車場収容台数だけです。
区民生活より開発優先に大田区政が運営されているということになります。結局すっかり破たんした自民党型政治、アベノミクスの経済政策・猪瀬知事の都政運営を、大田区も大企業のための開発事業を進める一方で、区民の暮らし・営業を切り捨てているのです。自治体の本来の役割は、地方自治法第1条の2「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本」と規定されています。福祉の増進を第1義的に推進すべきです。
●保育園についての未来プランは、25年度の保育所入所率99.5%であり、100%になる、すなわち待機児童がゼロになるのが5年もかかる予定です。区民の切実な要求に応え、待機児ゼロを、目標を前倒しで早急に実現すべきです。

【松原区長】
次に、待機児ゼロを早急に実現すべきとのご質問について答弁をさせていただきます。「保育サービス基盤拡充のための3か年プラン」に基づき、保育サービス定員の拡充を図っておりますが、待機児の状況が依然として厳しいことから、今年度の目標を300名から450名に増やし、待機児解消の取り組みを強化しているところでございます。また、2年後に予定されております子ども・子育て支援新制度の施行を前に、今後、保育サービスを含めたニーズ調査を行いまして、子ども子育て支援事業計画を策定してまいりたいと思います。今後の待機児解消対策についても、こうした取り組みの中でお示ししてまいりたいと思っております。

【金子議員】
保育環境の整備の項では、区立保育園の改築・改修の推進、民間(認可保育園)の改築・改修とありますが、多様な保育をいいながら、認可保育園の増設という計画がありません。
改築や改修だけでは定員を増やすには、限度があり、面積見直しもおのずと限界があります。ところが、今回行われた未来プランアンケートには、子育てについて質問していますが、まず、「『少子社会への対応』に向けて、大田区はどのような課題に力を入れていくべきでしょうか」という前提で、11の項目をあげてあります。保育園については、「保育園の定員の拡大」を選択するようになっていました。面積見直しで定員増なのか、保育園を増やして定員増なのか、わからないと区民の方から言われました。これは、「保育園の増設」という設問にすれば、迷わなかったのです。
●面積基準を確保しながら、子どもの健やかな育ちを保障するには、認可保育園の増設こそ必要です。そのためには認証保育所にたよらず、認可保育園を増設する計画を立てることです。区立保育園の民間委託は、不安定雇用で低賃金の保育士を生み出しています。民間委託は、もう止めるべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、認証保育所の設置計画をやめて、認可保育所を増設する計画を立てるべきとのご質問でございますが、認証保育所は、低年齢児保育や13時間以上の開所、駅の近くに立地するなど、大都市特有のニーズに対応しております。待機児対策の有効な施策の一つであると考えております。今後とも、多様な保育ニーズに応えるために、認可保育所、認証保育所、グループ保育室、定期利用保育事業の整備など、総合的な施策展開を図ってまいりたいという風に思っております。
次に、区立保育園の民間委託についてのご質問でございますが、待機児の増加など、保育ニーズが急増している状況を踏まえて、今後も様々な保育ニーズに応え、多様な運営主体との連携、協働によります保育サービスを提供するために、区立保育園の民営化を推進いたします。
区立直営園は、地域の拠点園として区内で18園とし、他の区立保育園については、順次、民営化してまいります。拠点園では、地域の保育施設への支援や交流、連携を図るなどの取り組みを行い、質の確保された保育サービス基盤の整備に努めてまいりたいと考えております。

【金子議員】
認可保育園が増設されなければ、認証保育所や保育ママでは、結局待機児童は減りません。そこで、待機児童を増やさない手段として、第2子を2月から6月までの間に出産予定の時、第1子が保育園に入所している場合は退園しなければならないという規定がつくられたのではないでしょうか。12月に第1子が保育園に入れれば、6月出産でもこの規定は、適用されませんので、2重に不利益を受けることになります。
「安心して子どもを産めるまちをつくります」の施策の体系で、ワーク・ライフ・バランスの啓発とあります。
●「こどもたちを地域の宝として尊重し産み育てやすい環境を整え、健やかな成長を見守ります」と、『基本目標1の生涯を健やかに安心していきいきと暮らせるまち』で、区民に約束しているではありませんか。入園マニュアルのこの規定は削除すべきです。

【松原区長】
次に、保育園の入園に関する規定についてのご質問でございますが、ワーク・ライフ・バランスの観点から、安心して子どもを生み育てられる環境づくりは、大変重要であると認識しております。妊娠・出産を要件として入園している場合においても、就労の継続に配慮する観点から、産前・産後休暇後に復職の場合には、引き続き在園できますように対応しております。

【金子議員】
●保育園入所が大変な地域は、学童保育も大変な状況です。前回の未来プランのアンケートでは複数回答で、保育所や学童保育など子どもの預かり施設の拡充が、小学校入学前のお子さんが同居している場合は62.3%と要望も高くなっています。両親が共働きでも学童保育が受けられない新1年生のお子さんがあり、高畑地域に学童保育を、という陳情も出ました。区はフレンドリーで対応しようとしていますが、安心して安全に放課後児童が過ごせる居場所として、児童館を増設すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、児童館を増設し、学童保育を実施すべきとのご質問についてでございますが、増加します学童保育のニーズに対応するために、これまでも、おおたっ子ひろばやフレンドリー等の開設によりまして、定員の増加を図ってきたところでございます。東日本大震災以降、学校内での学童保育を希望される保護者の方が増えていることから、平成26年4月には、(仮称)フレンドリー北糀谷及び(仮称)フレンドリー高畑の2施設を開設する予定でございます。今後も、施設の有効活用により、学童保育の待機児童の解消を図り、子どもたちの放課後の安全な居場所づくりを進めてまいりたいと考えております。

【金子議員】
●特別養護老人ホームは、平成25年度ですでに竣工している144床を加え、1464床を目標にしています。また30年度には、介護保険施設等の需要を換算し、策定当初3000人から3300人に修正しましたが、現在1500人いる待機者の実態からも大幅に増やして増設計画を持つこと。また、介護保険施設とまとめないで、特養ホーム、グループホーム、老健施設それぞれ区民に目標を示しながら整備すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、特別養護老人ホームなどの整備についてのご質問をいただきました。特養ホーム等の整備につきましては、入所希望者数の推移や居宅介護の状況、また、他の介護施設の整備状況などを踏まえまして、整備することが重要と考えております。特養ホームや認知症グループホームなど、個別の整備につきましては、これまでと同様に介護保険事業計画で明らかにしてまいりたいという風に思います。

【金子議員】
基本目標2まちの魅力と産業が世界に向けて輝く都市(まち)の項では、快適な交通ネットワークをつくりますとして、京急蒲田西口再開発は215億7千万円、うち国費は75億6千万円、区費は70億6千万円。糀谷駅前再開発は総事業費193億円のうち国費48億円・区費55億円の予定です。京浜急行連続立体交差事業の推進、関連街路の整備などにかなりの予算が投入されることになります。今年度だけでも、区民の暮らし・福祉を支えてきた事業が、40以上、10億円削減されました。
まして新空港線・蒲蒲線などは、いくらかかるのかわからないのに、関係機関と協議・調整、区民協議会と連携した促進活動をやり続けています。
●党区議団は、この蒲蒲線は止めるべきと主張してきました。JR蒲田と京急蒲田間の100円バスと空港までのシャトルバスで十分です。
 蒲蒲線・新空港線はもう白紙撤回すべきです。お答えください。

【松原区長】
次に、新空港線「蒲蒲線」に関するご質問をいただきました。新空港線「蒲蒲線」整備によりまして、区内の移動が便利になるほか、まちづくりへの寄与、羽田空港へのアクセスの強化、災害時の迂回ルートの確保など、区民の暮らしや、区内の地域経済活性化にも大きな効果が期待されると思っております。このような観点から、新空港線「蒲蒲線」の早期実現のために、大田区としての堅固たる意志と、工事着工の準備資金として、平成24年度に、「新空港線整備資金積立基金」5億円、平成25年度も、積立基金としての主旨を勘案しながら、更に5億円を積み立てたところでございます。今後も、大田区民にとって、より利便性の高い事業となりますように、検討を進めると共に、新空港線「蒲蒲線」整備を実現するために、国や東京都、鉄道事業者等に対して、強く働きかけをしてまいります。

【金子議員】
●コミュニティバスは、交通不便地域の解消と高齢者・障害者の社会参加を促すものです。他区の例にもならい料金を100円にして、便数を増やす、バスを3台にするなど思い切った施策に転換すべきです。矢口地域を本格運行にして、さらに大田区が調査した交通不便地域10か所に広げるべきです。お聞きします。

【松原区長】
次に、コミュニティバスに関するご質問でございますが、平成21年10月より運行開始のコミュニティバスは、平成24年2月から朝夕各2便の増便を行いまして、1日19便を運行させていただいております。現在導入しております矢口のコミュニティバスは、試行運転期間を含めて地域の利用者に役立つ方策を検討しておりますが、現在のところ、料金の値下げや増車の予定はございません。コミュニティバスを導入する地域の拡大につきましては、現在運行している地区での検証等を踏まえまして、判断して参りたいと考えております。

【金子議員】
基本目標3地域力と行政の連携がつくる人と地球にやさしいまちの項では、東日本大震災と福島原発事故を経験した大田区としては、抜本的に見直すことを求めます。
地球にやさしいまちでは、持続可能な低炭素社会が10年後に実現しますとしていますが、この項は思い切って促進すべきではないでしょうか。再生可能エネルギーへの転換を、区をあげて、区民にも呼びかけて、大田区の中小企業の技術力を総動員して、取り掛かるべき事業ではないでしょうか。太陽光発電・風力発電、波力発電や地熱発電など可能性は大きいのですから、再生可能エネルギーに大きく舵を切るべきです。大田区でも、羽田中学校、大田総合体育館、大森清掃事務所、古川子どもの家、萩中集会所、鵜木出張所などに、太陽光発電が建設時に取付けられ、区民から歓迎されています。
●区民の住宅の屋根に、戸建て住宅はもちろん、マンションの屋根にも取り付けられると、原発に頼らないで電力を供給できるようになります。太陽光発電の助成は、思い切って枠を広げ、年度途中で予算がないということのないよう、予算も増額して、区の姿勢として再生可能エネルギーに取り組んでいることを、もっとアピールすべきです。さらに、区の施設には全部太陽光発電を採用すべきです。区民にも中小業者にも喜ばれる施策です。お答えください。

【松原区長】
次に、太陽光発電への設置助成についてご質問をいただきました。区では住宅用太陽光発電への設置助成を平成21年度から開始しました。平成24年度までの4年間に1,588件の助成を実施したところでございます。今年度につきましても480件の助成を予定しているところでございます。従前から23区の中でも助成実績は上立を占めているところでございます。また、分譲マンションへの設置につきましては、通常より補助限度額を高く設定して助成対象としているところでございます。区の施設への太陽光発電の導入につきましては、公共施設整備指針に基づきまして、施設の新設や改築の時期にあわせて、可能な限り導入に取り組んでまいりたいと思います。いずれにしましても太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの普及は、地球温暖化防止の観点から非常に重要でありますので、今後も機会を捉えて広くアピールしながら、持続可能な低炭素社会の実現を目指してまいりたいと思います。

抜本的な中小商工業対策・円安対策を

【金子議員】
最後に、中小商工業対策・円安対策についてお聞きします。
おおた未来プラン10年では、海外に展開する企業を支援するとしており、実際タイなどに展開した企業もありましたが、これは大田区内の中小企業を応援することになったでしょうか。親会社が外国に行ったために仕事がなくなった、リーマンショックよりひどい、4月から全く仕事がないなど深刻な事態になっています。六郷地域の規模の大きい企業はほとんどなくなり、西六郷はグリコの工場の解体が終わり、がれきが積んであります。小さい工場はほとんど戸建て住宅になってしまい、マンションが立ち並び、地域経済がすっかり衰退しています。
区内製造業・町工場を再生することは大田区の元気のみなもとです。深刻な不況の中でがんばっているこの産業を応援し、守り、発展させることは日本経済の再生にとっても、また雇用を確保し、区民の生活向上を図り商店街にも波及させられる課題です。
これまでの自公政権と大田区政は、ベンチャー企業の支援を政策の目玉にし、既存の産業や集積の活性化や製造業の基盤の振興をおろそかにしてきました。
党区議団は、ものづくりを大田区の産業の柱にすえるとともに、中小企業振興条例の制定と基本法にふさわしい予算増額、区内町工場の半分が賃貸工場のため家賃助成などを提案し、議会のたびに予算組み替え動議を行ってきました。根本的には産業経済費を大幅増額することを要求してきました。最近は、円滑化法廃止に伴い、緊急の調査を行うとともに、対策を十分にとることなど求めてきました。
大田区として、区内中小企業の要望に応える対策を行うことです。
・東糀谷工場アパートへの助成を既存の賃貸工場の家賃助成などへ拡大すること。
・経営者の高齢化と後継者不足を支援するため、後継者支援として1人年額200万円で500社を対象に創設すること。
・工業集積地域活性化支援事業を発展させたものづくり経営革新支援事業の創設すること。
・今回は何よりも仕事確保のため、区内技術を活かした自然再生エネルギー部門への研究・試作品、実用化のための制度を新設すること
などこの間提案してきましたが、特に次の4点についてお聞きします。
●現在、商店街の装飾灯電気代補助について、急激な円安のため、電気料金が値上げされ、維持することが困難になっている商店会もあることから、基準を変えて対応すること。LEDに変えるには、本体ごと取り替えなくてはいけないために、費用がかさむこと。LEDにすると、その後の電気料金は大幅に 下がることから、支援を見直すことを求めます。お答えください。

【松原区長】
次に、商店街装飾灯の電気料金支援についてのご質問をいただきました。大田区では、商店街の装飾電気代補助金について、設定した基準本数に、東京電力の街路灯電気代算出金額であります8,300円をかけた金額を補助限度額としているところでございます。この金額の計算には、燃料調整費として、燃料価格の変動による調整価格が組み込まれております。また、この補助金は前年6月から当年5月分の領収書に基づく実績に対して一部支援をする制度でございます。そのため、現在の電気料金については平成26年度の予算で補助をする仕組みでございます。来年度は、燃料価格の変動が反映されるものと考えております。LED化につきましては、東京都の事業として補助率5分の4、または3分の2の補助金制度があります。平成24年度には20商店会がLED化して、区内では現在合計51の商店会でLED化されております。大田区といたしても、引き続き未実施の商店会に対して周知を図り、補助申請の推進をしてまいりたいという風に思います。

【金子議員】
●また、今実施している政府のものづくり補助金事業を、中小零細企業でもさらに使いやすくなるよう、政府に要望することを求めます。

【松原区長】
次に、政府のものづくり補助金事業を中小零細企業でもさらに使いやすくなるよう政府に要望を求めるとのご質問でございますが、政府では、これまで中小企業という括りで、補助金事業の対象としておりましたが、今回の補助金では、中小企業・小規模事業者として20人以下の企業をターゲットに掲げております。そのため、申請書類の簡素化や補助金の小口化を図るなど、小規模事業者にとっても、利用しやすい補助金事業となっております。これには、昨年から始まりました、「ちいさな企業成長本部」での参加企業からの要望によるところも大きいと思われます。今回の補助金は、事業スキームが確定しておりまして、第2次公募も開始されているため、現段階での変更は難しいと考えておりますが、区は、大田区産業振興協会、地域金融機関を中心とした認定支援機関とも連携して、区内企業が円滑に活用していただけるように、情報提供を行ってまいりたいと思います。

【金子議員】
●ものづくりを大田区の産業の柱にした提案として、技術者、従業員の保全のため、区独自に特に中小零細企業が使えるように、中小企業雇用調整助成金制度を立ち上げることです。お答えください。
さらに、原油・物価高から生活と経営を守るための提案として、投機マネーの規制を政府に要請するとともに、物価高の不当な押し付けをやめさせるために、直接補てんすることです。

【松原区長】
次に、ものづくりを区内産業の柱にした提案として、区独自に中小企業雇用調整助成金制度の立ち上げをしたらどうか、とのご質問でございますが、ご承知のとおり国では、景気変動等により事業縮小を余儀なくされた企業が休業、出向といった一時的な雇用調整を実施することに対して、雇用調整助成金によります支援を行い、中小企業の雇用維持を図っているところでございます。区では、この申請窓口でありますハローワーク等と連携を取りながら、制度活用について、区内中小企業の皆様に広く周知を図り、雇用維持に努めると共に、「若者と中小企業のマッチング事業」「求人情報サイトおしごとナビ大田区」等による新たな人材確保にも努め、区内ものづくり産業の集積維持・発展に取り組んでまいりたいと思っております。

【金子議員】
●クリーニング業、パン屋さん、豆腐屋さんなどが原油、小麦、大豆が値上がりし、価格転嫁が難しくなっています。困難な業種に直接補てんを行うことを求めます。補てん額は物価値上げ前の平均価格と今回の平均価格の差額とすることを求めます。燃油高で経営危機となっている福祉・医療施設への支援、食材費高騰で値上げを迫られて学校給食など考えられます。国、都に要請するなど適切な支援を求めます。

【松原区長】
次に、原油高で経営危機となっている区内業者への支援についてのご質問でございますが、原油高の影響で、区内の様々な商工業者が影響を被っているとの声があることは承知しております。しかし、数多くの業種がある中で、特定の業種だけを支援していくことは、慎重に考えていくべきであると考えております。区といたしましては、各産業団体等の実態を引き続き注視をしてまいりたいという風に思っております。私からは以上でございます。

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