第1回定例会一般質問(速報)―大竹議員(2月21日)



(映像は大田区議会ホームページより:17分)

公共施設の長寿命化で効率的・効果的な維持管理について

【大竹議員】
私は、公共施設の長寿命化で、効果的・効率的な維持管理について質問します。
新年度予算では、大田区教育委員会は学校施設の改修計画の策定とし、長寿命化計画等の策定を挙げています。2019年から2020年までの2か年の計画で、2019年度は全校調査、2020年度は前年度調査結果をもとに計画の策定を行い、国の補助金申請に必要な計画としています。私はこの間、公共施設の長寿命化の提案をしてきましたが、やっと長寿命化に向けて具体化が進んできたと感じました。
2015年3月の公共施設白書では、大規模改修費用の考え方、④改修積み残しで、「建築時から30年以上50年までのものについては、今後10年間で均等に大規模改修を行うと仮定して、改築時よりも51年以上経過しているものについては、建て替え時の時期が近いので大規模改修は行わずに60年を経た年度に建て替えることとします」と述べています。そして、建て替え実施年度は「原則として60年」としています。
その後、2017年3月の大田区公共施設等マネジメント今後の取り組みでも、(2)目標耐用年数の設定で、「原則として60年、軀体の健全性が確認でき、長寿命化を図る建築物は80年以上」としています。私が、昨年の決算特別委員会で取り上げた川崎市では、公共建築物の修繕費・更新費の将来20年間の見通しで、長寿命化を行わない場合、20年間の年平均で423億円に比べて、全ての施設について長寿命化を配慮した場合、同20年間の年平均で255億円となり、全ての公共施設を長寿命化した場合で4割削減の6割と試算した結果から、「全ての公共建築物の長寿命化に配慮していく必要があるとなりました」としています。
●区の適正配置方針を実現するための基本な方針(五つの柱)の一つでも、④「適正な維持管理、長寿命化による財政負担の平準化及びライフサイクルコストの削減」と述べていますが、現在、具体的に長寿命化を行うのは、旧蒲田西特別出張所1か所だけです。目標耐用年数を「原則として60年」を見直し、川崎市のように全ての公共施設の長寿命化計画を基本に進めるべきです。お答えください。

【企画経営部長】
初めに、建物の目標耐用年数に関するご質問でございますが、公共施設の整備につきましては、計画的な機能更新に加え、急速な高齢化に伴う人口構成の変化や区民ニーズの多様化について、様々な角度から捉え、検討を進めていく必要がございます。また、機能更新につきましては、計画的な維持管理や長寿命化の指定もあわせ持った総合的な施設マネジメントが不可欠です。建物の軀体の耐用年数は、施工時の状況や使用状況及び立地環境によってそれぞれ異なってまいります。こうした前提条件のもと、日本建築学会による専門的な考え方なども踏まえながら、原則として建物の目標耐用年数は60年とし、軀体の健全性が確認でき、長寿命化を図るとした建物は80年以上としてございます。引き続き適切な維持管理に取り組み、効果的で効率的な施設マネジメントを進めてまいります。

【大竹議員】
公共施設の半分を占める学校施設について、大田区公共施設白書(4)将来費用のうち、②学校施設の建築年時で、「2017年から2035年にかけて小中学校の76校(全体の87%)が築60年を迎えます。その後は隔年で1校程度が築60年を迎えます」と述べ、「現在……、他施設の複合化等、様々な角度から検討する中で早急に改築計画の策定が必要です」と、志茂田小中学校、東調布第三小学校、入新井第一小学校、東調布中学校、赤松小学校が複合化で計画が進められていますが、複合化は様々な問題があります。
まず、複合化は効率がよいと進められていますが、逆に経済効率が悪いことです。入新井第一小学校では、複合化による地域コミュニティ拠点の形成と、男女平等推進センター、入新井老人いこいの家、その他施設との複合化を行いますが、小学校は築61年経っているものの、男女平等推進センター、入新井老人いこいの家は築41年しかたっていません。築40年程度で公共施設が廃止されることが予想されますし、跡地の活用計画もなく複合化が進められて問題です。
また、本来学校の改築は教育環境の整備となっていますが、複合化は施設が大型化となり、改築工期も6年から7年と長くなることで、校庭やプールのない仮校舎に小中学校の全学年いることになることから、学校改築の父母の説明会では、父母から、そのような学校を避けるため、指定校変更をどのように行えばいいのかとの問い合わせが出ていると聞いています。施設の大型化で区内業者の参入が極端に減少します。例えば志茂田中学校は福祉センターとの複合化で区内業者が3社だけでした。志茂田小学校と児童施設の複合化で区内業者はたった1社という状況で、地域経済振興にも問題があります。しかし、長寿命化では、メンテナンスとして15年ごとに改修が必要となり、区内業者の仕事づくりにもなります。さらに、近年の異常気象により災害対策が大田区政への世論調査で第一位となっており、災害への対応が大きな課題となっている中、避難できる身近な公共施設がなくなり、高齢者対策や防災上からも問題です。
●築年数の違う公共施設を複合化することは、一つ一つの公共施設を長寿命化することと反します。よって、複合化ではなく長寿命化で対応すべきです。お答えください。

【企画経営部長】
次に、公共施設の長寿命化に関するご質問でございますが、今後の公共施設整備に当たりましては、区民サービスの維持・向上を図りながら、計画的な機能更新を進めていく必要がございます。こうした中、「大田区公共施設等総合管理計画」におきまして、地域ごとの将来のまちづくりを見据えた施設の適正配置の実現、施設重視から機能重視への転換による施設の集約及び有効活用など五つの柱と、具体的方策を示してございます。公共施設の整備を行う上で、複合化や多機能化は有効な施設整備手法の一つであると認識をしてございます。高齢者福祉や子育て支援など複数の施設機能を置き込むことで、区民の利便性向上や多世代が集うことによる地域の活性化などが期待できるものと考えてございます。今後も公共施設の更新に当たりましては、複合化による改築や大規模改修による長寿命化など、様々な施設整備手法から最適な手法を選択し、取り組んでまいります。

【大竹議員】
●公共施設等マネジメント今後の取り組みの2、公共建築物の管理に関する方針では、(2)構造軀体の健全性で、「今後の区有施設全体の整備方針を立てるため、保有面積の多い小中学校の旧耐震基準で建設された施設にて検証した結果、長寿命化の可能性がある施設が調査対象施設の68%に達成しています。施設更新の判断をする際は、長寿命化を視野に入れた検討を進める」としています。しかし、学校施設の改修では、長寿命化は1校もありません。今後、長寿命化の策定となっていますが、取り組みが遅過ぎます。早急に長寿命化の計画で進めるべきです。お答えください。

【教育総務部長】
老朽化に伴う学校施設の更新に当たりましては、単に建物の老朽化に対応するだけではなく、子どもたちが安全・安心な環境で、伸び伸びと学ぶことができる良好な教育環境を確保する好機と捉えております。児童・生徒の教室間の移動動線を考慮した校舎の配置や、不整形な校庭の形状を整形にしたり、拡充するほか、バリアフリー化への対応などを実現することを目的としております。こうした効果を最大限発揮する建て替えとして、現在2校を選定して改築工事を進めております。
教育委員会では、これまでも従来の改築の取り組みに加え、学校施設の長寿命化に対する課題の検討を重ねてまいりました。今後、学校施設の長寿命化計画を策定し、各施設の状況を見極めた上、これまでの改築工事とあわせて、効果的な長寿命化による学校施設の更新を検討してまいります。

【大竹議員】
次に、長寿命化を推進する体制についてです。この間も福岡市の長寿命化を推進する部で、68名の職員のうち、60名が建築、電気、機械の技術職で、市所有の建築物等の整備及び維持係る技術指導及び技術使用しています。また、川崎市でも、まちづくり局施設整備部全体で76人の職員配置で、施設計画課、公共建築担当、電気整備担当、機械設備担当で職員の配置が45人で、そのほかに長寿命化推進担当として、庁舎長寿命化担当課17人と、学校再生担当課14人とし、技術職の職員を配置し、長寿命化を推進しています。新年度予算案で長寿命化の計画を策定する教育委員会総務部教育施設課には、係長2名、職員7名ですが、建築、電気、機械の技術職の職員がいません。
●企業経営部の施設整備課11名、施設保全課44名の技術職人がいますが、計画策定のためにも、教育委員会に技術職の職員を配置して体制を強化すべきです。また、この間の当区議団の推進体制の拡充の提案に、「区で既に公共施設の整備に係る専門職を配備し、業務に当たっています」と答えていますが、長寿命化を推進するためにも、川崎市のように長寿命化の担当部署の設置を求めます。お答えください。

【企画経営部長】
続いて、公共施設の長寿命化に関する体制整備についてのご質問でございますが、公共施設の整備に当たりましては、計画・設計・施工のいずれの段階におきましても、関係部局との十分な調整のもと進めていくことが重要であると認識をしてございます。学校施設の整備につきましても、改築や長寿命化など施設ごとの状況に応じた検討を、専門職を配置した企画経営部施設整備課が教育総務部などと連携して、庁内調整を行いながら丁寧に進めているところでございます。
公共施設の更新に当たりましては、特定の手法のみを用いて対応するのではなく、複合化による改築や大規模改修による長寿命化など様々な施設整備手法の中から最適な手法を選択することが不可欠と考えてございます。したがいまして、今後も庁内連携を進めることで、中長期的な視点に立った持続可能な施設整備を着実に推進してまいります。

【大竹議員】
●最後に、全ての公共施設を長寿命化して、改築経費全体を削減することにより、今後の公共施設適正配置方針で、2060年までおおむね公共施設の延べ床面積1割程度の削減を目指す計画を撤回して、むしろ区民に身近な公共施設を増やす計画に転換すべきです。お答えください。

【企画経営部長】
次に、公共施設適正配置方針に関するご質問でございますが、現在区が保有する公共施設のうち、多くが整備も30年以上経過した施設となってございます。効果的・効率的な施設マネジメントによる区民サービスの維持・向上の実現に向けて、計画的に更新していくことは大変重要な課題であると認識をしてございます。将来の人口構成の変化や地域のまちづくりと連動した公共施設の配置の中で、施設の複合化・多機能化などにより施設総量のおおむね1割程度削減を目指すことは、既にお示しをしているとおりでございます。引き続き、公共施設のあり方について様々な角度から検討し、地域の実情なども踏まえつつ、公共施設の適正配置を推進してまいります。

以  上

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