区議団ニュース2018年3月号(No.268)――第1回定例会 みなさんとの共同で 新年度予算で実現


PDFファイル大田区議団ニュース2018年3月号(No.268)

区議会第1回定例会(2月16日~3月27日)で、新年度予算案が発表され、区民のみなさんの世論と運動、党区議団の提案で下記の事業が実現しました。また、党区議団は議員の日額旅費(交通費)の廃止、中小企業後継者支援の提案も行いました。

  • 助産師による訪問型産後ケア 乳房ケア・搾乳指導
  • 認可保育所(24施設)等の整備 1000人の定員拡大
  • 保育士人材確保支援事業の継続 保育士応援手当月1万円、保育従事職員宿舎借り上げ支援
  • 特別養護老人ホームの整備 西糀谷75床、ショートステイ9床
  • 認知症高齢者グループホームの整備補助 (3か所)
  • 障がい者サポートセンター増設 重症心身障がい者・児の短期入所など
  • 振り込め詐欺対策として自動通話録音機の貸与事業の拡充 前年度から1,000台増の3,000台へ拡充
  • 妊産婦避難所の設置 (3か所)
  • 歯科医療救護所の充実 特養ホーム等8か所に加え、新東京歯科技工士学校・新東京歯科衛生士学校
  • JR大森駅東口下りエスカレーター設置補助
  • 呑川水質浄化対策の推進
  • 違法民泊の取締りのための施設調査

二つの条例案を提案――自・公など反対で否決

党区議団は、「日額旅費(日当)」の廃止条例(区議会の本会議や委員会、23区内の視察に対して、1日当たり3000円支給)を少数会派と共同で提出しました。
現在23区中では、廃止が6区、実費は2区で、東京都議会も廃止しており、廃止の方向が流れとなっています。
また、「中小企業次世代人材確保支援条例」を提案し、後継者確保が困難となっている中小企業に、後継者対策として就業者に対し一人月1万円を3年間奨励金として支給し支援する制度です。


新年度予算案には、評価できる点もあります(表面参照)。党区議団は、以下の点の問題を指摘しました。

区民への負担増の押し付け

  • 昨年4月から
    • 学校給食 総額1億4千万円
    • 施設使用料(集会室など) 総額2千万円
  • 昨年9月から
    • 保育園保育料 総額1億7千万円
    • 学童保育 保育料
  • 今年4月から
    • 臨海斎場火葬料 3年前に続き5,500円増の4万円(2.3→3.45→4万円)
    • 国民健康保険料 1人当たり年平均121,988円となり前年度比3,547円増、介護分の前年度比2,232円増
    • 介護保険料 基準額で年72,000円(月6,000円)、前事業比年4,800円増
    • 後期高齢者医療保険料 2年ごとの見直しで年平均97,127円となり前年度比1,635円増

不要不急の事業、大規模開発事業を推進

新年度予算では、新空港線に、10億円の積立・第三セクターの設立経費、羽田空港跡地に大型施設の建設のための経費等、不要不急の大規模開発を進めようとしています。
また、区民から批判が上がっている区議会議員の海外親善訪問調査(予算額約1900万円)も引き続き行います。

総額1260億円の新空港線(蒲蒲線)計画

新空港線(蒲蒲線)の整備案イメージ図(大田区実施計画(平成29年度~ 31年度)より)

松原区長は「関係者と協議を重ね、事業化に向け最終段階へと着実にすすんでいる」と新年のあいさつで述べ、新年度予算で、10億円の更なる基金積立(総額48憶円)と、第三セクター(自治体と民間事業者が共同出資する事業体)を想定した整備主体の設立の予算を計上しました。
しかし、区は「新空港線」と呼びながら矢口渡〜京急蒲田間の先行整備としており、京急蒲田から羽田空港への第二期工事整備については、具体的な計画を示していません。
しかも、区内の駅がほとんど素通りで、過密ダイヤのため開かずの踏切が増え、現在の列車の運行数を減らし新空港線の列車を割り込ませることにもなりかねず、区民の利便性の向上にもなりません。
また、総事業費は1260億円で、国・地方(都・区)・整備主体で3分の1ずつの負担となり、大田区は最高で420億円となります。更に第三セクター方式で整備主体にもなることとなり、区の負担は最高で倍の3分の2になります。
しかも第三セクター設立は、今年度計画していましたが、設立できず新年度に持ち越されたものです。
党区議団は、多額の税金投入計画となる新空港線は撤回すべきと主張し、JR蒲田駅〜京急蒲田駅間は、循環バスや動く歩道を提案してきました。

大田区版「加計学園」?羽田空港跡地計画

第1ゾーンの位置(「羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)」について(昨年5月)より)

羽田空港跡地第1ゾーン約5・9ヘクタールに、鹿島建設(株)を代表としたグループに50年間貸しだし、国際的な産業拠点と銘打って、モビリティサイト、医療研究、ロボット研究、イベントホール、温泉文化施設、文化体験館、クールジャパンなどの施設整備を計画しています。
区は施設内で区内の中小企業のものづくりの技術を世界に発信して大田区内へ仕事を回し、活性化させるとしていますが、親企業の海外流出等で仕事が激減し廃業を余儀なくされている区内製造業に役に立つのでしょうか。
この土地は、1945年9月まで区民が暮らしていた土地200ヘクタールの一部です。 GHQの48時間退去命令によって土地を奪われた痛恨の歴史のある土地で、現在は国有地となっています。
大田区民には返還されず、大切な税金を積み立てた約172億円の羽田空港跡地積立金で購入を計画しています。また、この計画は〝国家戦略特区構想〞によるもので、多額の税金を投入して、海外企業や大企業の儲けのための施設になるのではないか、「大田区版の加計学園になりかねない」との声が上がっています。

「羽田空港跡地第1ゾーン整備事業(第一期事業)」整備・運営事業予定者の提案概要(昨年6月)より

訂正

PDFファイルのニュースにおいて、「大田区版『加計学園』?羽田空港跡地計画」の記事中、「約5・6ヘクタール」とあるのは「約5・9ヘクタール」の誤りでした。

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